「Go To トラベル」に参加するための書類やマニュアル。説明の不十分さや煩雑さで参加を敬遠する事業者もいるという(綾部市駅前通り・市観光協会)

「Go To トラベル」に参加するための書類やマニュアル。説明の不十分さや煩雑さで参加を敬遠する事業者もいるという(綾部市駅前通り・市観光協会)

 国の観光支援事業「Go To トラベル」が始まって1カ月余りが過ぎた。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立つ京都府北部の観光業界は効果に期待を寄せるが、規模の小さい宿泊施設などでは事務手続きの煩雑さで混乱がみられる。観光客回復の兆しは出ているものの、見切り発車の施策に不安も広がっている。

 「とりあえず事務局に登録だけでもしてもらうよう連絡した」。8月21日の綾部市観光協会の事務所は、市内宿泊事業者への電話で慌ただしかった。この日は事業者の「GoTo」事務局(東京)への申請期限。登録できなければ、キャンペーンの恩恵は受けられないはずだった。

 ところが同日、観光庁が申請数の伸び悩みを理由に期限延長を発表。運営の混乱ぶりに、あきれ返る声が同協会内で聞かれた。

 そもそもキャンペーンの対象となるには、事務局に登録した旅行代理店や予約サイトで取り扱ってもらうか、観光協会などの第三者機関を置いた上で旅行者に直接販売するかを選ぶ必要がある。元々、中小の宿泊施設は手数料を要する代理店の利用は少なく、今回も第三者機関を通す方がメリットが大きい。

 府北部では、各市町の観光協会などでつくる府北部地域連携都市圏振興社(海の京都DMO)が第三者機関として申請していたが、8月21日までに登録完了の知らせはなかった。担当者が「問い合わせても返答がない。いつ決まるのか」と困惑していたところ、26日になってリストに載った。期限が迫る中、海の京都DMOを第三者機関になると見越して申請書を提出した宿泊事業者も多いという。

 制度の説明会は、各地の会場、オンラインともに1時間半で、大半は資料説明だった。京丹後市観光公社は「宿泊施設側が理解しているか分からない。申請せず、後になって『還付されない』と旅行者とトラブルになるのでは」と心配する。キャンペーンに対応できる宿泊施設を把握するため、全戸調査を検討している。