河川への汚水放流の現場となった施設を調査する宇治市議ら(京都府宇治市池尾)

河川への汚水放流の現場となった施設を調査する宇治市議ら(京都府宇治市池尾)

 京都府宇治市が100%出資する宇治廃棄物処理公社(同市池尾)が長年にわたり、汚水を浄化処理せずに川へ放流していた問題で、京都府は3日、廃棄物処理法に基づき、9月3日から10月2日までの1カ月間、廃棄物の搬入を停止する命令と、10月2日までに汚水の処理方法を改善する命令を出した。

■少なくとも18年間、毎年数回は汚水が放流されていた

 この問題は宇治廃棄物処理公社が府の立ち入り調査を受け、8月20日に公表。一般廃棄物と産業廃棄物の埋め立て処分地からしみ出た汚水を処理する施設で、長雨や豪雨時に汚水が原水槽からあふれて処理機器を破損しないよう、ポンプで原水槽の汚水をくみ上げ、そばの仙郷谷川へ放流していたという。少なくとも2002年から年数回、続けられていた。

 京都府からの命令を受けて、宇治市は3日の市議会委員会で当面の改善策を提示した。原水槽があふれる可能性のある場合は、8月末に配備したバキュームカーに汚水を積んだり、9月末までに設置する送水管で公社内にある別の処理施設へ汚水を送ったりするとした。また、抜本的な改善策はコンサルタント業者に委託して検討し、21年の出水期までの実施を目指すという。

 宇治廃棄物処理公社の岡見吉偉理事長は「府からの処分を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に取り組む」とコメントした。市は廃棄物の搬入停止期間中、近隣の埋め立て処分場の利用を呼びかける。

■「組織の隠蔽体質を感じる」宇治市議会で問題追及

 3日に開かれた宇治市議会の市民環境委員会で、市は当面の改善策などを示した。一方、同公社では職員によるごみ処分料の横領や敷地内での無免許運転など不祥事が近年続いており、議員からは組織の抜本的な体質改善や、市と公社の連携強化を求める意見が相次いだ。

 議論に先立ち3日に行われた現地調査で、委員会の議員は、一般、産業両廃棄物の埋め立て処分地からしみ出た汚水をいったんためる原水槽や、浄化処理する機器を見ながら、市の担当職員の説明を受けた。

 市は委員会の中で、府山城北保健所が8月13日に立ち入り調査した際、公社の事務局長は汚水放流を把握していないとしていたが、8月19日に実施した2回目の調査で汚水放流を映した動画を府から見せられ、放流を認めたと報告した。

 議員からは「なぜ最初の立ち入り時に分からず、その後も放置されたのか」「組織の風通しの悪さや隠蔽体質を感じる」などと批判が相次ぎ、「公社存続の危機だ」との声も上がった。

 同公社の埋め立て処分地では、1999年に浄化処理後の水から高濃度のダイオキシン類が検出された。別の議員は「その3年後に、しかも浄化処理されていない汚水の放流が始まった。なぜ当時、問題意識を組織で共有しなかったのか」と疑問を呈した。

 また、「汚水放流に使ったくみ上げポンプは公社のお金で買ったのか」との質問に、市の担当課は「市としてお金の出所は確認しておらず、調査もしていない」と答え、公社との連携不足を露呈した。