周辺の海水浴場が開設を見送った影響もあり、にぎわう丹後由良海水浴場(8月12日、宮津市由良)

周辺の海水浴場が開設を見送った影響もあり、にぎわう丹後由良海水浴場(8月12日、宮津市由良)

 国の観光支援事業「Go To トラベル」が始まって1カ月余りが過ぎた。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立つ京都府北部の観光業界は効果に期待を寄せるが、規模の小さい宿泊施設などでは事務手続きの煩雑さで混乱がみられる。観光客回復の兆しは出ているものの、見切り発車の施策に不安も広がっている。

 観光客の出足には、キャンペーンの効果も出ているようだ。宮津市の海水浴場ではお盆期間中、昨年比で来場者が3割増加。天橋立観光協会は「旅行への動機にはなっている」と実感を込める。宮津天橋立観光旅館協同組合の中村義昭理事長は「4~6月の冷え込みに比べ、海水浴の観光客は多く来た。GoToを機に泊まりたいという声も寄せられている」と手応えを語る。京丹後市でも独自の支援策と相まって、前年以上の来客があった宿もあるという。
 
 一方で、中小の宿泊施設からは効果に懐疑的な声もある。綾部市五泉町の「里山ゲストハウス クチュール」を営む工忠照幸さん(44)は、宿泊料金の割引分が、いつ支給されるかも知らされず不信感を募らせる。旅行者向けのGoTo事務局ホームページでは、最近まで対象施設が法人名で表示されていた。今も地域はばらばらに並び所在の市町村が分からない。工忠さんは「誰に向けた紹介か。これを見て行きたいと思う旅行者はいない」と憤る。
 
 また旅行代金の50%補助で、お得感を出すこと自体に疑問の声が上がる。1泊2日の割引上限2万円を満たすには、4万円以上の高級プランが必要。伊根町観光協会は「大手代理店以外は電車や航空機のチケットを組み込めない。町の宿にそんな高級プランはできない」とため息をつく。

 国は地域共通クーポンの発行も予定するが、詳細は明らかにならず、時期も「9月以降」とはっきりしない。混乱の続く支援策に、福知山観光協会は「支援自体はいいことだが、説明がころころ変わる。全国一律でやって地域事情に合った施策ができるわけがない」と困惑している。