外国人労働者の受け入れ拡大を前に、全国の自治体の半数が強い懸念を抱いていることが共同通信の全国アンケートで浮かびあがった。

 外国人労働者には期待するが、地域でしっかり受け入れることができるのか-。多くの自治体はそう心配している。

 4月1日の改正入管難民法施行まで約50日となったが、外国人労働者の適切な就労条件や生活環境の確保策などについて、国は具体策をまだ何も示していない。

 労働者が実際に暮らすのは地域社会である。自治体が心配するのはもっともだ。

 改正入管難民法の施行で、政府は介護や外食、建設など14業種で5年間に最大34万5150人の外国人労働者を受け入れる計画だ。

 同法施行に際し政府は、雇用主らに外国人労働者の生活支援や日本人と同等以上の報酬水準といった適正処遇を求めている。

 京都市など47%がこの点で懸念を示した。大津市など30%は「その他」としたが、新制度の詳細が不明などの理由だ。改正法施行を前に多くの自治体が戸惑いを見せている。

 「企業に受け入れのノウハウがない」「企業の経営が厳しく、同等以上の報酬は難しい」という声があるほか、「企業は人件費を抑えるために(外国人を)受け入れている」という指摘もあった。

 地域が抱える現実にどう対応するのか。政府は早急に具体策を示す必要がある。

 新制度で在留3年以上の技能実習生は新たな在留資格に移行できる。技能実習生には転職制限があるが、労働者は移動の自由がある。賃金の高い都市部に労働力が集中しかねない。

 自治体には、この点についても懸念がある。外国人が低賃金で働くようになれば、日本人の雇用が圧迫され、若者の流出に拍車が掛かる可能性があるからだ。

 外国人労働者の受け入れ拡大そのものには半数以上の自治体が前向きに捉えている。一方で、公的機関の多言語対応ひとつをとっても、労働行政や医療機関などでの準備はほとんど整っていない。

 国は結局、自治体に丸投げするのではないか、という懸念が自治体にはある。国の現在の姿勢は、明らかに怠慢である

 もっとも、適切な対策を打ち出すのは、入管難民法を所管する法務省だけでは難しい。厚生労働省や文部科学省なども協力し、横断的に取り組む必要がある。