京都市が2019年度当初予算案を発表した。高齢化で社会福祉費が膨らみ、一般会計は過去最大となった。

 来年2月に任期満了を迎える門川大作市長にとって3期目の仕上げとなる。観光戦略や子育て支援、防災・減災などに重点を置き、手堅くまとめた印象だ。

 主力の観光分野では、外国人観光客の急増が市民の暮らしを脅かす「観光公害」への危機感をにじませた。市バスの混雑を緩和するため、前乗り後ろ降り方式の導入拡大や荷物置き場を備えた車両の投入などを実施する。観光客の分散化へ、隠れた名所の情報発信やライトアップなどの「夜観光」の推進といった対策も計画する。

 財源には昨秋から徴収を始めた宿泊税の一部を充てる。観光公害に悩む市民の理解を得られるような成果を挙げてもらいたい。

 子育て支援では、全国で相次ぐ児童虐待事件を受け、児童相談所と区役所・支所の連携を強化するシステムの整備に乗り出す。子どもの命を守る活動に全力を挙げてほしい。

 待機児童解消では、引き続き国基準を上回る保育士を配置し、高い給与を確保するため、49億円を投じる。市は5年連続で4月1日時点の待機児童がゼロだが、希望する保育所をあきらめている人は多い。保育所の受け皿体制を質、量とも拡充させ、潜在的な需要をすくい上げるべきだ。

 19年度は9月の国際博物館会議(ICOM)など多くの重要会議が京都で開かれる。

 5月の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)総会では、市が温暖化に関するシンポジウムを開く。京都議定書採択の地として、地球温暖化対策の重要性を改めて発信してほしい。

 景気回復から市民税収は法人、個人とも堅調で、初めて3千億円を突破した。門川市長は「京都の強みを市民の豊かさにつなげてきた」と手応えを示した。

 ただ、一般財源の増加分は社会福祉費の膨張で吹き飛び、不足額は借金返済用の基金の取り崩しといった特別の財源対策に頼った。市は20年度でこの「禁じ手」を終える計画だが、達成には黄信号がともったと言えるのではないか。

 民間バス会社による運行受託の縮小で、市バス事業は11年ぶりの赤字予算案となった。

 今後も財政環境が厳しさを増すのは必至だ。歳入、歳出両面で抜本的な見直しの議論が避けて通れないだろう。