「身近な街並みに潜む魅力を掘り起こしたい」と語る山﨑さん(宇治市宇治)

「身近な街並みに潜む魅力を掘り起こしたい」と語る山﨑さん(宇治市宇治)

 一見すると平凡な街並みの見え方を変えるため、資料をあさり、地面にはいつくばるように路上を歩く。それが「路上観察学者」だと、山崎さやかさん(36)は語る。

 福井県出身。歴史好きで、高校時代は「休み時間より世界史の授業の方が楽しい」ほどだった。京都教育大(京都市伏見区)に進学し、同市内に点在する寺社や特徴的な地名を記した地図にほれ込んだ。「田舎出身で、普段の移動は車。地図を見て街を歩くのは初めてで、わくわくした」

 大学卒業後は大阪市の介護施設に勤めたが数年で退職。友人の紹介で、9年前から京都府宇治市職員として働く。

 2015年、京都府長岡京市で定期的に開かれている古本販売のイベントに初めて足を運び、参加者が配る本の目録のチラシに目が留まった。

 裏面に自分の趣味などを書いたチラシを見て、地図を片手に街を巡り、建物の歴史や土地の風情に思いをはせた自身の大学時代がよみがえった。「街のことを思いっきり表現できる」。もともと読書好きでもあり、イベントに出て配るチラシを作るため、路上観察を再開した。

 対象は自身の住む宇治の街が中心。これまでに煙突の歴史や茶畑の分布など15のテーマで調査を行い、A4判ほどの紙に結果を手書きで記して、イベント会場で配った。

 机上の調査は「ほどほど」に、実地調査での発見を重視する。約1キロの通勤路にあるマンホールを全て調べ、水道関連は90カ所あり、うち80カ所が下水マンホールと分かった。平等院近くの宇治川から小倉町まで続き、ほとんどが地下を流れる井川を丹念にたどると、路地裏の細い水路が町内の水田につながっていることも分かった。

 最近は、装飾されたブロック塀の分布調査に乗り出した。「何気ない風景に新たな意味が加わる。それに気付いた高揚感がたまらない」。宇治市宇治。