「Fuchi-machi」と表記されている広報板(京都市伏見区)

「Fuchi-machi」と表記されている広報板(京都市伏見区)

「Fuchi-cho」と表記されている広報板(京都市伏見区)

「Fuchi-cho」と表記されている広報板(京都市伏見区)

 京都市伏見区深草フチ町の読み方は「ふちちょう」なのか「ふちまち」なのか。京都市広報板に書かれた住所を示すローマ字表記が混在し、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に、住民男性から相談が寄せられた。取材を進めると、地元の人が大切にしている呼び名が優先されている実態が見えてきた。

 地域にある広報板には「Fuchi-cho」「Fuchi-machi」の両方の表記がある。約2年前に下京区から移り住んだ男性(63)は、金融機関に口座名義人の住所変更や新規の口座開設に関する書類を提出した際、住所の読み方を「ふちちょう」から「ふちまち」に直してと告げられた。

 男性は「伏見区役所深草支所で『ふちちょう』と言われたので、その通りに書いたのだが…」と困惑。正しい読み方を知ろうと近所の人にも聞いたが、分からなかった。

 市は1991年から、道案内を兼ねて広報板に住所表記を進めている。表記は区役所が地元の意見を聞いて決める。伏見区役所深草支所担当者は「広報板の場所によって、住民の呼び方が違った可能性がある」とする。

 では正式にはどちらなのか。市地域自治推進室によると、住所表記は条例で決まっているものの、読み方の根拠となる法令はない。現在の住民基本台帳システムでは「フチ町」は「ふちまち」と読み仮名を入力しているが、同室は「便宜上の措置で、正しいとは言い切れない」と説明し、便宜上の読み仮名を決めた経緯ははっきりしないという。

 自身が住む地域をどう呼び表すかは、文字で書く以上に愛着や思いが表れることもある。繁華街の四条河原町を「しじょうかわら“ちょう”」、逆に北区の北野白梅町を「きたのはくばい“まち”」と読む市民はいないだろう。同室は「『便宜上の読み方を、地元でなじんだ呼び名に合わせて』といった要望があれば、柔軟に対応したい」とする。

 ちなみに市バス停留所で町を「まち」と読むのは44カ所、「ちょう」は173カ所ある。市交通局の担当者は「区役所や支所に確認し、地元の人がおかしいと思わない呼び方にしている」と話す。