8月中旬にオープンした高級パン専門店「えっ! どうなってるの?」の食パン(京都市右京区)

8月中旬にオープンした高級パン専門店「えっ! どうなってるの?」の食パン(京都市右京区)

西利が甘麹を使って開発した「AMACO BREAD 甘麹熟成食パン」(中京区・AMACO CAFE)

西利が甘麹を使って開発した「AMACO BREAD 甘麹熟成食パン」(中京区・AMACO CAFE)

百貨店の地階にオープンした「銀座に志かわ大丸京都店」(下京区・大丸京都店)

百貨店の地階にオープンした「銀座に志かわ大丸京都店」(下京区・大丸京都店)

 パン食文化が根付く京都で、高級食パン店の出店が相次いでいる。地元のパン業者をはじめ、異業種や東京資本、コンビニも参入し、京都の高級食パンは戦国時代。各店は独自性をアピールして食卓への定着を図っている。

 高級食パンは大阪の「乃が美(み)」が先駆けとなって全国で認知度を高めたが、パン食の人気が高い京都市内でも近年扱う店舗が各地で増えてきた。

 8月中旬、右京区の嵐電常盤駅近くに高級パン専門店「えっ! どうなってるの?」がオープンした。同じ場所で営業するパン屋「パンドブルー」のスペースを分割して新店舗を開業。販売は864円と1059円の食パン2種類のみ。

 かみしめると、しっとりした食感とバターの豊かな甘みが口内に広がる。生地に水を多めに練り込み、焼き時間を短くすることでパンの耳まで薄く仕上げた。奇抜な店名は主に120円でパンを売るパンドブルーとの価格帯の差から感じる印象を表現した。

 両店を運営するブルーガーデン(大津市)共同代表の青松廣政さん(43)は「コロナ禍で飲食業が大変な時期だが、少しでもまちを元気づけたい」と意気込む。

 異業種からの参入も相次ぐ。生八ツ橋「おたべ」を製造販売する美十(南区)も昨年12月、中京区新町通錦小路上ルに高級食パン専門店「別格」を開店した。女性客らの口コミで徐々に人気を集めているという。

 漬物製造販売の西利(京都市下京区)は8月、中京区の「立誠ガーデンヒューリック京都」に開店した「AMACO CAFE」で、「AMACO BREAD 甘麹(こうじ)熟成食パン」(1080円)を発売した。
 

 米と麹で作った甘麹をラブレ乳酸菌で発酵させた「AMACO」を使用。甘麹の熟成でもっちりとした食感が増す。漬物の研究を生かした独自性を打ち出す同社は「甘麹をパンに使えないかと開発した。食が多様化する中でリピーターも増えている」という。

 「えっ?―」と「別格」の開業を支援した「ジャパンベーカリーマーケティング」(横浜市)の岸本拓也社長は、100店舗以上の食パン専門店の運営支援に携わった経験から「共働きが多いからか、京都の人はパンを日常で食べてくれる。暮らしの中で豊かさを感じてほしい」と話す。

 東京資本からは、高級食パン専門店の「銀座に志かわ」が京都に進出している。6月に大丸京都店(京都市下京区)に店舗をオープンするなど、京都では計5店舗と販売網を拡大中。仕込み水にアルカリイオン水を使い、しっとりととろけるような食パン(864円)を生み出した。専用の手提げ紙袋や風呂敷で高級食パンの贈答品用途も開拓し、京都で健闘している。

 銀座仁志川(東京)の高橋仁志社長は「京都は地元ベーカリーのレベルが高く、日本一ハイレベルな戦いだ。ただ、京都の人は食に対する感覚が鋭く、よいものは必ず認められる。時間をかけてよさを伝えていきたい」という。

 コンビニでもセブン―イレブンが「金の食パン」(厚切り4枚入り297円)を販売するなど、高級食パンの市場が広がる。高橋社長は「コロナ禍で外食が減り、家庭での食事が増えて市場が伸びている。新規参入が増え、競争激化しているが、今後はしっかりしたパンのおいしさとブランド価値が求められる時代になる」と予測する。