住むまちの将来の形について、大阪の人々は再び重い判断を迫られることになった。

 大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」の制度案が大阪府市両議会で承認され、2015年以来2度目となる市民対象の住民投票の実施が確定した。

 ただ、都構想は15年の住民投票で反対70万票、賛成69万票の僅差ながら否決されている。結果を受け、構想の提唱者で大阪維新の会の代表だった橋下徹大阪市長(当時)は政界からの引退を表明した。

 当時は5区に再編するとしていた特別区の数を4区に変えるなど、制度案は否決後に一部修正されてはいるが、基本的な方向性は前回と変わっていない。

 2度も住民の審判を求める意義は何なのか、そもそも都構想はなぜ必要なのか。市民に十分説明できているとは言い難い。結果を急ぐような姿勢は疑問だ。

 5年前の住民投票では、自民、公明、民主(当時)、共産各党の地元組織が「反維新・反都構想」で連携した。今回の制度案採決で公明は府市両議会で賛成し、府議会では自民が自主投票の方針で臨み、一部議員が賛成にまわった。

 大阪維新は、住民投票後に行われた2度の知事・大阪市長のダブル選挙で、いずれも圧勝している。府議会では過半数を獲得し、市議会でも大幅に議席を伸ばした。

 大阪維新との決定的な対決を回避したい思惑が自公の方針転換を促したようだが、政党間の駆け引きばかりで、都構想の是非を巡る本質的な議論が深まったとは言えないだろう。

 制度案には多くの課題が残されている。インフラ整備など広域事務を府に一元化し、特別区は教育や福祉などの身近な住民サービスを担うとしているが、それが行政の質を高めることにつながるのかは不透明だ。

 府と市は、特別区に移行後15年間は4区とも収支不足に陥らないと試算している。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って長引くことが想定される税収減などの影響が反映されていないとの指摘もある。

 2度目の住民投票は、11月1日投開票が有力視されている。市は前回の住民投票までに制度案に関する住民説明会を計39回開催したが、今回は新型コロナの影響で8回にとどまるという。

 賛否両派とも街頭演説や集会を開いての説明が難しくなっている。ネットを活用するなど住民の理解を深める工夫が不可欠だ。