ペーパークラフトの客船模型を制作し、高島市に寄贈した小野さん(高島市役所)

ペーパークラフトの客船模型を制作し、高島市に寄贈した小野さん(高島市役所)

 紙模型作りを長年の趣味にしている滋賀県高島市の男性が、客船の紙模型2点を市に寄贈し、市役所本館1階フロアで展示している。かつて自身が乗った船をモデルにしており、「美しい模型を眺めて、優雅な船旅に思いをはせてほしい」と話す。

 お守りなど神社の授与品を納める会社を営む小野研三さん(83)=同市新旭町。幼少のころに住んでいた大阪から親戚がいる松山市に行くのに客船を利用したことから船が好きになったという。

 戦時中の大阪大空襲(1945年3月)の後に松山へ移り住み、中学2年のころからボール紙で客船の模型を作り始めた。高校卒業後、京都市内で就職するために、当時「瀬戸内海の女王」と称された「に志き丸」に松山から乗船した。「京都で一旗揚げて、故郷に錦を飾る、との気持ちだった」と振り返る。

 仕事の合間を縫うようにして、これまで大小約50点の客船模型を制作した。今回寄贈したのは「むらさき丸」と「に志き丸」で、いずれも100分の1サイズ。船体の滑らかで美しいカーブ、煙ですすけた煙突や多くの船窓を精巧に再現した。それぞれ1年がかりで仕上げたという。

 幼少時に大阪大空襲で自宅が全焼し、母と姉弟の4人で迫り来る炎から逃げ回った経験から「戦争の道具としての軍艦の模型は1隻も作ったことはない」と小野さん。「客船はたくさんの人の夢を乗せて運ぶ。その姿は見飽きることはない」と話す。