「これで鳴き砂も終わりかと思いました」。1997年1月、日本海のナホトカ号重油流出事故。京丹後市にある「琴引浜の鳴り砂を守る会」事務局の三浦到さんは振り返る▼踏むとグッグッと音がすることで知られた浜が黒く汚された。ボランティアが続々と駆けつける。寒風に負けずシャベルで砂をすくってはふるいにかけ、黙々と砂混じりの油を除去した▼だが夜が明けると、前日きれいにした浜に油が漂着している。取材する側も徒労感でへたり込みそうになったことを思い出す▼日本の船が事故を起こしたモーリシャスの島民も、同じような思いをしてはいないか。それでも丹後では作業が進むうち、さまざまな工夫が凝らされた。三人寄れば文殊の知恵である▼ぬれて目詰まりする砂はふるいごと水槽に入れて洗ったり、竹を組んだ三脚にふるいをぶら下げて省力化したりした。3カ月かけて延長1・8キロの浜全面の砂をふるいにかける。気の遠くなるような作業だが重油は消え、5年後には完全になくなった▼コロナ禍で移動が制限される中ではシャベルを手に駆けつけることもできない。「外国に被害を与えてしまい残念。除去のノウハウもあるし、行けるものなら少しでも手伝いたい」と三浦さん。遠い島国に丹後の知恵を伝えるすべがあれば。