刈り取り前の田んぼで、まれに背丈の高い稲が交じっているのを見かけることがある。滋賀県の農業普及指導員に聞くと「裸地生(らちば)え」と呼ばれる現象で、地球温暖化に関係しているという▼稲刈りの後、放っておくと株元から出た新芽が稲穂をつけることがある。それが高い気温で成熟した種もみになり、耕しても土中に残って翌年、田植えをした別の品種の稲に交じって成長するそうだ▼小さな異変だが、これもまた気候変動の表れの一つなのだろう。目立ち始めたのはここ数年というから、近ごろ毎年のように大災害をもたらしている豪雨などとの関連も考えてみたくなる▼沖縄、九州地方に生々しい傷痕を残した台風10号は、日本近海の海水温が異常に高いことが強い勢力を維持したままの接近につながった。今年は台風が少なく、通過海域があまりかき混ぜられなかったために、水温が下がらなかったようだ▼海は長期的に見れば、温暖化でたまった大気中の熱の多くを吸収し、どんどん暖かくなっている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、海水温は1970年以降上昇が続き、ペースは93年以降2倍になっている▼温暖化が進めば巨大台風が襲うリスクが高まると、多くの専門家が指摘する。台風一過、想像力を働かせたい。