希望しても認可保育所などに入れない待機児童が、今年4月1日時点で1万2439人だったことが厚生労働省の調査で分かった。

 各自治体による保育の受け皿整備で減少傾向が続き、調査を始めた1994年以降では最少だ。それでも依然として1万人を上回る。

 さらに国の定義で待機児童とみなされない「隠れ待機児童」は4月時点で約7万5千人に上り、昨年より増えている。

 今回の待機児童数が実態を反映しているとは言えず、子どもを預けられない保護者の切羽詰まった状況は変わっていないのではないか。定義を前提とした対策が妥当かどうかも問われそうだ。

 政府は待機児童を2020年度末までにゼロにするとの目標を掲げるが、20年度中の達成を事実上断念し、先送りする方針だ。

 当初は17年度までの達成を目指していたが、働く女性の増加に対応できず20年度末に先送りした経緯があり、2回目となる。

 来年度以降の保育施設確保へ、新たな整備計画など具体策をまとめるという。全国の市町村が策定した子育て支援計画では、21~24年度に新たに計10万人超分の施設整備が必要となる見込みだ。

 だが、単に受け皿を増やすだけでは状況が改善するとは思えない。「ゼロ達成」は目標としてはアピールするが、数合わせになりがちだ。

 女性の就業率は80%に迫る勢いで上昇を続ける。働く親の多様なニーズや地域の実情に即しているか、対策の在り方を見直す必要がある。

 安倍晋三政権は少子化を「国難」とまで言い、保育の受け皿整備を進めたが、「量」の確保に偏っていた点は否めない。

 昨年10月からは幼保無償化がスタートしたが、どんな保育の受け皿や「質」が必要なのか検討はなおざりにされた。国の基準に満たない認可外施設に子どもを預けざるを得ない保護者も多い。

 保育の現場は慢性的な人手不足が続く。要因の一つは低賃金で、19年の調査では保育士の平均給与は月24万5千円と全産業平均に比べ約9万円低い。

 さらに新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、「3密」回避が難しい保育現場は負担が増している。業務負担に見合った待遇へ、思い切った改善が求められる。

 新たな政権には着実な質の確保が求められる。誰もが仕事と子育てを安心して両立できるような環境整備を進めてほしい。