立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の代表選が、きのう告示された。

 安倍晋三首相の辞任表明による後継の自民党総裁選の日程と重なるタイミングでの代表選である。

 巨大与党の政権運営をチェックし、国会に緊張感をもたらすためには、野党が大きくまとまることが求められている。

 その先には、政権交代可能な政党への脱皮が期待されていよう。

 そうした役割が求められているのに、立候補した2人の主張からは、どんな社会をつくるのか、骨太のビジョンがうかがえない。

 合流新党には衆参合わせて149人が合流するというが、何を目指す集団なのか分かりにくい。党の輪郭がはっきりしないままで、幅広い支持を得られるのか。

 立候補した国民民主党政調会長の泉健太氏は、政策提案型の政治姿勢を強調し、時限的な消費税凍結や新型コロナウイルスワクチンの全国民への無料接種を掲げた。

 立憲民主党代表の枝野幸男氏は「互いに支え合う社会」を訴え、消費税の時限減税などで経済再生を図ることを打ち出した。

 コロナ禍に苦しむ人々に目配りしたい意図は感じられる。だが、経済や外交、社会保障の将来をどうするのか。しっかりとした選択肢を示せなければ、いまの自民・公明政権に飽き足らない有権者の心をつかむことはできまい。

 10日に投開票される短期戦である。両氏は具体的な政策をぶつけ合い、合流新党が目指す社会の姿について国民がイメージできるような論戦を交わしてほしい。

 合流新党を巡っては、新党の綱領にある「原発ゼロ」に反発する連合傘下の民間産業別労組出身議員らが新党に参加しないなどの動きがあり、国民民主党は合流組と残留組で「分党」する方向だ。

 野党が結束する目的で合流を議論してきたのに、最終的に一枚岩になりきれなかった。旧民主党で繰り返された分裂劇を国民に思い起こさせたのではないか。

 党の結束力を高め、政権をうかがえる集団に変えていけるかも、党トップに求められる重要な役割である。統率力と同時に人間的な魅力も競ってもらいたい。

 立民、国民両党とも、自民党に比べて地域組織が脆弱(ぜいじゃく)な面は否めない。合流新党の足腰を強くする方策も代表選で語ってほしい。

 早期の解散・総選挙も取りざたされている。これまでの野党協力をどう深化させるかも課題だ。

 代表選で問われる論点は多い。