和菓子を提供する大辻さん(宇治田原町南・大辻茶菓店)

和菓子を提供する大辻さん(宇治田原町南・大辻茶菓店)

人気のまんじゅうと水無月

人気のまんじゅうと水無月

 京都府宇治田原町で新たに和菓子店がオープンし、口コミで人気が広がっている。元宇治田原町役場職員の大辻恵子さん(52)が47歳で役場を辞め、修業を経て開店にこぎつけた。大辻さんは「地元の人はほっこり休めて、観光客には宇治田原を知ってもらえる場にしたい」と意気込む。

 大辻さんは同町出身。動物病院の動物看護師などを経験し、20代で役場に就職した。


 転機は2016年。同町南で日用品を扱う「大辻百貨店」を営んでいた父が亡くなり、姉が1人で店を守ることになった。姉を支えるため大辻さんも役場を離れた。


 店に立つ中で思いを強めたのは、「お年寄りの居場所をつくりたい」ということだった。「車がないとどこにも行けず、あてもなくうろうろしたり、暑い中座り込んだりする人を店から見て、なんとかしたいなって」。日ごろから客にお茶を勧めておしゃべりをしていたことから、店内の一角で喫茶店を営むことを思いつく。宇治田原町のおいしいお茶と、お茶に合う和菓子を楽しんでもらうことに決めた。


 おいしい和菓子を提供するため、17年に京都府菓子技術専門学校に入学。卒業後は和菓子製造販売の鍵長(京都市下京区)で修業した。一般的に和菓子修業は10~20代で経験する人が多い中、大辻さんは40代。「時間がない」と師匠に話し、修業内容を凝縮してもらう。1年半の修業期間で、有平糖の細工や上生菓子、ようかんなど一通りの和菓子を習った。「最初は砂糖が30キロ入った袋が持てなかったりしたけど、筋肉がついて持てるようになった」と振り返る。


 20年5月、大辻百貨店のバックヤードを改装し「大辻茶菓(ちゃっか)店」をオープンさせた。近所の丸伍製茶から仕入れた抹茶を使ったまんじゅうや団子、季節の生菓子など6種類ほどの和菓子を並べる。


 新型コロナウイルスの影響により、開店には予期せぬ苦労もあった。工事資材が集まらず、開店予定日も延期を余儀なくされた。出費は重なる中、新規開店への国や自治体からの支援はなく、開店前に「閉店」も考えた。「友人や近所の方に『息抜きできる場所できたわ』と言ってもらえて、やっと『開店してよかったんだ』と思えた」とほほ笑む。


 町内は料理上手が多く、よもぎの炊き方を教わることもある。「まだまだこれから、一生修業です」と前を見据える。


 大辻茶菓店0774(88)4040は午前10時~午後6時営業。金曜休み。