時代劇を演じるすわらじ劇園の団員。幅広い演目の中に、人間的な成長を込めた=同劇園提供

時代劇を演じるすわらじ劇園の団員。幅広い演目の中に、人間的な成長を込めた=同劇園提供

 京都市山科区を拠点に89年間活動してきた劇団「すわらじ劇園」が8月末で解散した。全国各地で公演してきたが、新型コロナウイルスの影響で中止が相次ぎ、「収入ゼロでは成り立たない」と、苦渋の幕引きとなった。

 同劇園はサンスクリット語で「完全・自治独立」といった意味を持つ。1931年に生活共同体「一燈園」(同区)を母体に創設され、2003年に株式会社化した。

 最盛期には40人ほどの劇団員が所属し、解散時点では8人だった。全国で小中学生向けや一般向けの公演を行い、「インド独立の父」マハトマ・ガンジーの伝記を基にした作品や作家・山本周五郎原作の時代劇、車いすバスケットボールを題材にした現代劇など幅広い演目を通じ、登場人物の内面的な成長を伝えることを主眼に置いてきた。

 6代目代表の木村活也さん(52)は「北海道の中学で車いすバスケをテーマにした作品を演じた後、耳の不自由な生徒が『めっちゃ感動しました。僕も頑張ります』と筆談で伝えてくれた。人の心を震わせる演劇の力を感じた」と振り返る。

 昨年は約80公演をこなしたが、今年はコロナの影響で劇場の閉鎖や学校の休校が広がり、予定していた公演が相次いでキャンセルに。感染の収束が見通せず、影響が長期間残る可能性も高いことから、解散を決めた。

 演劇を含むエンターテインメント業界全体が、コロナ禍で苦境に立つ。木村さんは「演劇を含めた文化は、社会の潤滑油。日本では文化を支援する機運が弱いが、人の心を動かす演劇を、社会で大切に守っていってほしい」と願う。