建物の安全について無責任だったと批判されても仕方ない。

 賃貸アパート大手のレオパレス21が施工した33都府県、1300棟余りの物件で不良が見つかり、入居者計約1万4千人に転居を促す事態となった問題である。

 特に約7800人が住む641棟では、建築基準法が求める耐火性能が不足していた。

 同社は転居費用を負担するというが、年度末を控えた引っ越しシーズンと重なるため、転居が遅れることも懸念されている。対象者の経済的、精神的な負担がかからないよう十分な配慮を求めたい。

 確認された施工不良には、指定の2枚の部材を組み合わせて天井に設置する必要があるのに1枚しかなかったり、指定の部材を使用していなかったりする事例があった。遮音性の基準を満たさない可能性のある物件も見つかった。

 同社は昨年春以降、住戸を隔てる壁について建築確認の図面と実際の施工内容が異なっていたなどとして約3万9千棟の調査を進めている。今回の不良もその過程で明らかになった。

 なぜ、これほど多くの不正が放置され続けてきたのか。

 記者会見で深山英世社長は「建築現場での作業効率を上げるのが一番の目的だった」と明かした。効率化を優先し、基準を満たさない工事をしていたなら、会社ぐるみで手を染めていたことになる。

 同社は、外部有識者による第三者委員会の設置を「現時点では考えていない」とする。内部調査で済まそうとの姿勢は、同社への信頼性をさらに傷つけかねない。

 レオパレスは、賃貸住宅を建てて所有者から借り上げ、管理・運営している。所有者にとっては入居者募集などの手間を同社が代行してくれるメリットがある。

 ただ、アパートなどの修繕費を払っているのに修繕がなされないとして、所有者が同社を提訴する事例も相次ぐ。同社のビジネス手法には疑問が示されている。

 同社は補修工事費や引っ越し費用を特別損失として計上、2019年3月期の純損失は大幅に拡大する見通しだ。財務が悪化すれば物件の修繕も進まない悪循環に陥りかねない。国は、所有者や入居者が不利益を被らないような措置を省庁あげて講じてほしい。

 同時に、建築が法令に適合しているかどうかを自治体や民間検査機関がチェックする建築確認や完了検査が形骸化していなかったかも検討し、同様の事案が再発しないようにする必要がある。