おそらく、日本で一番元気な女性だったのではないか。

 競泳女子のエース、池江璃花子(りかこ)選手(18)である。

 体調不良で合宿先のオーストラリアから帰国し、検査を受けた結果、白血病と診断された。

 力強く泳ぐ映像と病名のもたらす印象の落差は、あまりにも大きい。信じられないとの思いを、ファンだけでなく、多くの人々が抱いている。

 池江選手は、自宅の風呂で水中出産によって生まれた。「水の申し子」のような人である。

 競泳の世界選手権には、中学3年のときから日本代表として出場している。昨夏は、100メートルバタフライでパンパシフィック選手権の金メダルを獲得し、世界ランキング1位となった。ジャカルタ・アジア大会では6冠を達成し、最優秀選手に選ばれた。

 2020年東京五輪での大活躍が当然、期待される。

 それが、出場すら危ぶまれる事態となった。残念だと感じる人もいるだろう。

 白血病が、血液のがんであることを思い起こしたい。

 池江選手の病状が急性型なのか、慢性型なのか、詳しくは公表されていない。一般に急性型の場合が多く、子どもなら6~8割が治るようになったとされるものの、重病なのは確かだ。

 短くても半年、長ければ年単位で、治療に専念しなければならない。同じ病気になったアスリートから、「決して明るく前向きなことばかりではない」との声も上がっている。

 東京五輪の個人種目で代表となるには、20年4月の日本選手権に出場し、定められた派遣標準記録を突破して2位以内に入る必要がある。だが、そのことが人生のすべてではなかろう。

 若く、才能豊かな選手である。人々の期待が負担にならないような環境の中で、焦らず、しっかりと完治を目指すのが、一番よいのではないか。

 一方で池江選手は、誰よりも五輪に出たがっているという。

 病名の公表を、自ら決断した。病に立ち向かい、必ず勝つとの姿勢を示す。

 ツイッターに、「しっかり治療すれば、完治する病気でもあります」「さらに強くなった姿を見せられるよう頑張っていきたい」と書き込んだ。

 こうした強い意志を持ち続け、再びプールに戻って、元気な姿を見せてもらいたい。