故阿久悠さんが作詞した歌に「テレビが来た日」がある。何度かの再結成後のピンク・レディーが2003年に歌った。「ぼくは学校を休んだ。ご近所の人も集まって到着を待った」。シニア世代には特別だった日なのだろう▼きょうはカラーテレビ放送記念日。NHKなど5局が60年前にカラー本放送を始めた。白黒放送から7年後。総天然色をウリにしたカラー番組は希少で、新聞のテレビ欄にはカラー放送と記された。本紙を見ると歌舞伎の舞台やドラマなど数本しかなかった▼売れ出したのは1964年の東京五輪以降とされ、70年代に世帯普及率が半数を超えた。クーラー、カー(車)を合わせた「3C」は「新・三種の神器」と呼ばれた▼日本の経済成長をけん引したテレビの生産は世界市場で韓国・中国勢にシェアを奪われて久しい。視聴時間もインターネットの隆盛で減っている▼一方でコロナ禍の巣ごもりもあって、高精細な4K対応液晶テレビの国内販売は好調だ。調査会社によると今年上半期は前年同期と比べ3割増えた。東京五輪が開催されるならば、買い替え需要も増すのだが▼阿久さんの詞は「ぼくんちは劇場に変わった」「家族が増えた」と子ども目線で歓迎した。さて令和の時代。テレビが映し出す未来ビジョンは鮮明だろうか。