英国では野党第1党を「女王陛下の野党」と呼ぶそうだ。特別のサポート制度があり、議会には党首室も用意されている。スムーズに政権交代できる仕組みというから恐れ入る▼野党は民主主義の三大発明の一つ―米政治学者の故ロバート・ダール氏の言葉といい、吉田徹・北海道大教授の著書「『野党』論」の受け売りだ。健全な野党があればこそ民主主義は安定するというのだ▼与党政権が取りこぼす少数の民意をくみ上げ、政治の舞台にのせる機能を野党が担っている。強い野党が強い民主主義をつくるというわけだが、さて現実はどうか▼きのう立憲民主、国民民主両党などが合流する新党の代表に枝野幸男氏が選ばれ、党名は「立憲民主党」に決まった。国会議員149人を擁する野党第1党が誕生するが、世の中の注目度はいまひとつだ▼野党には「無責任な批判ばかり」といった陰口がつきまとう。与野党の「1強多弱」は、国民を見ずに離合集散を繰り返す野党側がもたらしたと言えないか。枝野新代表は「国民の中へ」と訴えたが、ぜひ実践してほしい▼「多弱」は現代社会の多様な価値観、多くの弱者を指してもいる。野党が目を向け、支配的な強者に対抗する政治機能を働かせないと社会はいびつになる。野党の役割は思った以上に重要だ。