人間どもにあの世の裁き

 「西七条えんま堂」(正法寺七条別院)は京都市下京区西七条の商店街の一角にあり、地蔵盆や交流の場として親しまれてきた。近くの龍谷ミュージアムが地域と連携で調査を行ったところ、閻魔(えんま)王など11体の坐像が鎌倉―室町期に作られたと分かった。特集展示「西七条のえんま堂―十王と地獄の美術」は、これらの坐像や本尊の不動明王立像を寺外で初公開し、あわせて閻魔や十王にまつわる絵画、彫刻を紹介する。

十王坐像のうち 閻魔王 鎌倉時代 西七条えんま堂

 「えんま大王」はなじみ深いが、死後に亡者の行き先を裁く「十王」の一人だ。龍谷ミュージアムの村松加奈子学芸員によると、亡者は死後、7~10回の裁きで地獄、畜生道など行き先が決まる。地獄だけでも何通りもあり、生前の言動で振り分けられ、極楽に行ける人は少ない。

不動明王立像 鎌倉時代 西七条えんま堂

 古今の経典から地獄、極楽の様子を記した源信の「往生要集」(平安時代)が広く知られ、裁判官である十王への信仰も生まれた。初七日など死後7日ごとに行う法要は、裁きの日ごとに親族らが集まり「悪い人じゃありません」「どうぞ減刑を」と願い、回向する趣旨だ。四十九日が重視されるのは、7度目の裁きでほぼ行き先が決まるからだという。

地蔵菩薩立像 平安時代後期 京都・鍛冶町町内会

 展示では、かつて十王堂と呼ばれた西七条えんま堂にちなみ、「あの世」の捉え方を探る。一方、閻魔と一体とされる地蔵菩薩にも焦点を当て、中京区鍛冶町の地蔵菩薩立像を中心に、地蔵や地蔵盆にまつわる思想、文化財も紹介する。展示替えあり。

地蔵十王図 室町時代 龍谷ミュージアム
十王図 室町時代 龍谷ミュージアム
地蔵十王図 室町時代 個人蔵
十王図 江戸時代 永観堂禅林寺

商店街の中に建つ西七条えんま堂(京都市下京区西七条)

【会期】ホームページから予約が必要。9月12日(土)~11月3日(火・祝)月曜と9月23日(水)休館。9月21日(月・祝)は開館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【入館料】一般550(450)円、65歳以上450(350)円、大学生400(300)円、高校生300(200)円。かっこ内は20人以上の団体料金
【会場】龍谷大学龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)
【主催】龍谷大学龍谷ミュージアム、京都新聞
【問い合わせ】龍谷大龍谷ミュージアム075(351)2500