コロナ禍を経てスポーツの価値や五輪の精神を見つめ直す機会にしてほしいと訴える鈴木長官(東京都千代田区・スポーツ庁)

コロナ禍を経てスポーツの価値や五輪の精神を見つめ直す機会にしてほしいと訴える鈴木長官(東京都千代田区・スポーツ庁)

 スポーツ庁の鈴木大地長官は、東京五輪まで1年となる7月23日を前に京都新聞社の単独インタビューに応じた。1988年ソウル五輪の競泳で金メダルを獲得し、順大教授を経て2015年秋の同庁発足に伴い、初代長官に就任して5年。新型コロナウイルスで見直されるスポーツや五輪の価値について語った。

 -東京五輪・パラリンピックの1年延期について。

 「延期は驚いた。中止よりはいいかと。私はずっと五輪に情熱を傾けてきた。水泳ではロサンゼルス大会以降関わっている。東京大会は最善の支援をし、運営も手伝っている。無事に開催し、選手たちが後悔することのないよう、バックアップしていきたい」

 -延期は政治主導で決まった。スポーツ界は意思決定に参画できなかったのでは。

 「いろんな考えはあるが、組織委の森喜朗会長は長年、日本ラグビー協会の会長をされていた。(元五輪選手の)橋本聖子五輪担当相もしかりで、スポーツ界の方が入っていないとは言えない。あまり船頭が多くても、というところがあるのでは。東京大会はこれまでも国家プロジェクトと呼んでいたが、追加の費用負担も含め国を挙げて考えていかないといけない」

 -コロナ禍の中、SNSを使って社会に発信する選手がいた。どう見ていたか。

 「われわれの時代は、発信は限定された形だった。今はSNSやユーチューブで思いを発信しやすくなった。東京大会の延期で弱点をカバーできる、と前向きに捉える選手が多く、頼もしく感じていた」

 -トップ選手の活動やプロスポーツが再開しつつある。

 「スポーツがない世の中は味気ないし、潤いもない。社会から何かが欠けたような感じがしたはず。そういう意味では、スポーツが文化として根付いてきていると感じる」

 -夏の甲子園やインターハイが中止になり、ジュニア選手にも影響が出た。

 「各都道府県単位で(代替)大会が開催されると聞き、ほっとしている。練習の成果を出し尽くしてほしい。高校で競技を終える人もいると思う。このもどかしさや悔しさを晴らすべくというわけじゃないが、大学や社会でもスポーツに親しんでもらいたい」

 -生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ関西」は当初の来年5月開催を目指す。長官は2017年の前回大会に10キロマラソンで参加したが、大会の醍醐味(だいごみ)は。

 「五輪・パラより先に行われることになり、この大会をどう開くのか、重要性が増した。競技の裾野を広げたり、一般の人が心からスポーツを楽しめたりする意味で、非常に重要な大会。なんとか成功に導きたい」