全国の大学で9月後半から後期授業が本格的に始まる。

 だが、学生らでにぎわうキャンパス風景は当面戻りそうにない。新型コロナウイルスの感染拡大への対策で、前期に続いてオンラインによる遠隔授業を中心とする大学が多いためだ。

 教室での対面授業との併用を広げる動きはあるが、集団感染への警戒から大学構内への立ち入りや課外活動などの制限を続ける例も目立つ。

 小中高校がほぼ全面再開しているのに対し、大学では双方向の学習や横のつながりが難しいと学生らの不満や不安が渦巻いている。

 幅広い学びと経験を培うキャンパスライフをいかに保障し、支えていくかに、各大学はいっそう目配りして手を尽くすべきだ。

 文部科学省の調査によると、7月1日時点で短期大を含めて全1012大学で授業が行われ、対面と遠隔の併用が61%、遠隔のみは24%に上った。うち対面の全面再開を9月以後としたのは23%にとどまり、検討中が58%に上った。

 同省は、対面が再開されず「学生から悲鳴が上がっている」と問題視。萩生田光一文科相が今週、オンライン中心を続ける方針の京都大を訪ね、「大学は対面授業にチャレンジし、知見を世の中に発信して」と促した。

 大学側が慎重なのは、行動範囲の広い学生の移動に伴う感染リスクの心配や、座席間隔を空けるための教室数確保の難しさなどからという。幾つかの大学で学外活動によるクラスター(感染者集団)が発生し、批判を浴びたことへの警戒心もうかがえる。

 だが、学生たちが思い描いたのとかけ離れた大学生活への失意と閉塞(へいそく)感は大きい。オンラインでの個別受講とリポート提出に追われ、1度も通学できていない新入生をはじめ、教員や同級生と交流できずに孤立を深めるケースが少なくないと懸念されている。

 コロナ禍は、学生の生活基盤にも打撃を与えている。仕送りやアルバイト収入の減少から学費や家賃の支払いに不安を抱え、休学や退学を視野に入れている学生が4人に1人に上るとの調査結果もある。

 京都産業大は10月以降にPCR検査を独自導入する。各大学が効果的な感染防止策を工夫しつつ、対面制限の解除を考えてほしい。

 教育内容の変更や、施設が利用できないことなどを考慮した学費の減免も検討課題だろう。学生たちの学びや生活、就職活動などの不安にきめ細かく応える相談態勢や援助が求められる。