30年近く前、結婚後も職場で旧姓を通称使用できるようになったとき、考えた。「いずれ、法律で別姓使用が認められる。その時こそ、姓を選択することになる」▼実際は、今も通称のまま。証明に戸籍謄本を求められることも、少なくなったとはいえまだある。何より便宜的に二つの姓を使い分けていることが嫌になる▼長野県在住の大学生が、高校3年だった昨年、別姓夫婦の両親をテーマに、短編ドキュメンタリー「うちって変ですか?」を制作した。インターネットで動画を見られる▼結婚時に女性だけ姓を変えるのはおかしいと事実婚を望んだら結婚を拒否されそうになったこと、子どもを父親の姓にするためにペーパー離婚を繰り返したこと、外国では選択制か新たな姓を作れること。理不尽な現実がつづられている▼法務省によれば、夫婦同姓が義務の国は日本以外にない。国連女性差別撤廃委員会は、2003年以来3度も日本政府に民法改正を求めたが、自民党保守派の反対で実現しなかった▼免許証などへの旧姓併記といった小手先の対応は煩雑な手続きやさらなる偏見を生む。女性の「活躍」を声高に主張した安倍政権は結局、都合良く「活用」したかっただけなのか。新しい政権は本気で活躍に取り組むのかどうか。しっかり見極めたい。