王将フードサービスの渡辺直人社長(京都市山科区)

王将フードサービスの渡辺直人社長(京都市山科区)

  新型コロナウイルス感染症は業績への影響だけでなく、事業モデルや業務の運営など会社自身の変革も迫る。感染拡大を抑えながら社会生活を営む「コロナ時代」の経営について、王将フードサービスの渡辺直人社長に考えを聞いた。

 ―新型コロナウイルスの感染拡大で、今春は多くの「餃子の王将」の店舗で営業時間の短縮を余儀なくされました。

 「接客が悪くなったり、料理がおいしくなくなったりして売り上げが下がったのではなく、まさに未知の領域だった。店で働いてくれている人を守り、王将に来てもらうお客さまのためにも店を残さないといけない」

 ―8月は直営全店の売上高速報が前年同月比で96・9%まで戻りました。外食産業の中でも早い回復です。
 
 「感染対策で席を間引いたり、飛まつ防止のパーテーションを設置したりと、お客さまが安心して飲食できる態勢づくりを進めた結果、店の稼働率は落ちた。その分を補うテークアウトと配達の売上げが前年同月と比べて60%伸びている」
 
 「昨年10月の10%への消費税増税時に、軽減税率が適用されるテークアウト需要が増えることを見据え、来店前にネット注文できるシステムの整備など手を打ってきたことが奏功した。今夏も東京や大阪の一部店舗では閉店時間を前倒ししたが、10月には全社で前年比100%を越えてくるのではないか」

 ―テークアウトと配達の比率はどこまで伸びるのでしょうか。
 
 「コロナ禍前に2割弱だった店外食比率は今では3割になった。お客さまのニーズは多様化しており、4割くらいが店外食になるのではないか。ただ、店のレベルが下がったらテークアウトと配達も売れなくなる。その意味で店の価値を磨くことは重要で、家では作れないものを徹底的に追求していく」

 「半世紀前は、外食と言えばデパートのレストラン。普段ではなかなか味わえない味がそこにあった。ところが今では飲食店が多すぎる『オーバーストア』の状態だ。もう一度ゼロから、わざわざ足を運んでも食べたくなる店、料理は何なのかを考える必要がある」
 
 ―店内でのイートインは苦戦しています。

 「ビジネス街、繁華街ではいまだに2割くらい売り上げが落ち込んでいる店もある。出勤抑制でビジネス街でお客が減った一方、テレワークする自宅近くの店に昼に来店してもらえるようになった。郊外や住宅地に近いところでは前年並みに回復してきている。王将チェーンの中でも客の移動が起きていて、都心部で下がった分を郊外でカバーする」

 ―今後の出店戦略も再考を迫られます。

 「狭小物件での『立ち食いスタイル』は厳しくなった。都心部の賃料が高く、人が激減している店舗も苦戦しており、今期に今までにない再編をするかもしれない。一方、郊外や住宅地など小商圏で成り立つところに出店していきたい。家賃も安くて席も広く、住宅地に近い場所は関西や九州にもたくさんある。配達専門店についても検討を始め、今後実験したい」