コロナ禍によって窮地に追い込まれた経済を立て直そうと、動きが急である。

 政府は、プロ野球、サッカーJリーグなどイベントの人数制限を19日から緩和する。飲食業界への支援策「Go To イート」のプレミアム付き食事券事業も、順次始まる見通しとなった。

 さらに、観光支援事業の「Go To トラベル」では、旅費割引の適用が感染拡大で除外されていた東京都を、来月から対象に追加する方針を明らかにした。

 東京を発着地とする旅行が加わり、同事業はようやく全国規模で動きだす。

 都民は約1400万人いる。観光庁の統計によると、昨年の国内宿泊者の2割程度を占めており、経済へのインパクトは大きい。

 売り上げの減少に苦しむ観光業界にとっては、朗報である。

 とはいえ、人々の往来が増えると、またもや感染拡大を招くのではないか。

 政府は、これまでにGoTo利用者で感染が確認されたのは、7人にとどまるという。

 新規感染者数のピークは8月初旬で、この頃には1週間に約1万人いたが、最近は半分以下に減っている。都は、感染への警戒度を1段階引き下げた。

 こうした状況から、都を追加する方針を打ち出した。

 ところが、これを検討した新型コロナウイルス感染症対策分科会では、懸念の声が相次いだ。

 東京の感染者数は、支援事業から除外された7月とほぼ同じで、高い水準にある。

 6月以降に拡大した流行の「第2波」は、東京からの人の移動によって、大阪や福岡、沖縄などの各地に広がっていったことが、ウイルス遺伝子の分析で判明したとされている。

 常に感染再燃の可能性があるとして、分科会は都道府県ごとの感染状況に応じて、今後も適用除外を考慮すべきだ、とする。

 また、いわゆる「3密」を避けるため、観光地の混雑度によって、事業の割引率を変える仕組みを導入するよう提言した。

 移動増に伴う感染リスクを、最小限に抑える新たな工夫が求められているようだ。

 分科会での意見を受けて、政府は、今月下旬にかけての感染状況を見極めたうえで、都の追加を最終判断したい、としている。

 事業の推進一辺倒ではなく、場合によっては引き返す勇気も、備えておいてもらいたい。