京都は平安京遷都(794年)以来の都であり、長く政治、経済、文化、宗教などの中心でした。平安京以前も丹後地域の古墳など各地域に貴重な文化財が所在しますので、平安京以降のものと合わせて、まさに有形、無形の文化財の宝庫です。

第1回暫定登録文化財(建造物)の京都府立園部高等学校巽櫓(旧園部城巽櫓)=南丹市園部町、京都府教育委員会提供

 文化財は所有者のご努力によって保護、維持されています。府内にはこれまで国や府が指定などした文化財は約4700件ありますが、これからも保護しなければならない文化財が数多く存在します。また、最近は地震、豪雨、台風など自然災害が多発しており、危機にさらされている文化財もあります。さらに、人口減少による地域コミュニティーの崩壊により、運営状況が悪化した社寺等から散逸する危惧(きぐ)なども指摘されています。

 そこで、京都府では府の文化財保護条例を一部改正し、2017年4月に全国初の暫定登録制度を創設しました。この制度によって、年間の登録件数を飛躍的に増加させ、幅広く価値の高い文化財を掘り起こすことにしたのです。

 暫定登録は、戦前から継続して実施してきた未指定文化財の基礎調査済みリストをもとに、文化財保護課の職員が調査員らとともに各市町村教育委員会などのご協力を得て、簡易な追加調査を行い、府文化財保護審議会委員の先生方の懇切なご指導を得て進めました。そして、17年8月に434件、11月に306件、18年1月に276件を登録して、計1016件の暫定登録を達成しました。

未指定文化財の両足院(京都市東山区)本蔵の屋根修理状況。左側は新調した瓦、右側は再利用した瓦(京都府提供)
未指定文化財の西福寺(京都府井手町)蔵の掛軸「三種の神器図」のうち「内侍所」修理状況(京都府提供)

 なお、国の登録文化財の修理には助成の制度はありませんが、府の暫定登録文化財は保存修理などに府の助成があることも特徴です。昨年8月に第1回暫定登録された建造物が、10月の台風21号で被災したので、早速その復旧事業に支援しました。

  一方、京都府では、同条例に基づく保護制度とは別に、社寺等が所有する未指定文化財の修理について、京都府独自の予算で補助することを全国に先駆けて1962年から始めています。

 文化財の修理に対する補助金は、国指定文化財や府指定・登録文化財など、国民共有の財産として学術上重要と認められたもののみに修理補助が行われることが通例でした。しかし、長く政治・文化の舞台として脚光を浴び続けた京都には、指定を受ける価値のある文化財が多数眠っています。こうした未指定文化財が、指定を受ける前に失われたり、価値を損ねてしまうことがないよう、修理などに補助する制度を創設したのです。

第1回暫定登録文化財(美術工芸品)の紙本著色徳川家康像(八幡市・正法寺)=京都府教育委員会提供

 2017年度は127件の未指定文化財の修理などに対し補助を行いました。補助を受けた社寺等は、北は京丹後市久美浜町の安養寺から南は笠置町の笠置寺まで、京都府内全域にわたっています。補助の対象とする文化財には一定の基準を設けており、また、修理は文化財的価値を損ねないよう、文化財の専門家のアドバイスを得て適切に行っています。

 また、京都府では、08年度から「ふるさと納税」を全額文化財の保護に充てる「文化財を守り伝える京都府基金」を設け、全国から広く寄付を募っています。「ふるさと納税」を全て文化財保護に充てるという取り組みも当時は全国初の試みでした。

 集まった寄付金は、指定・未指定にかかわらず文化財の保存修理、文化財の防犯・防災の事業、文化財保護の心を育む事業に補助を行う財源としています。

 京都府の「ふるさと納税」は返礼品を用意しておりませんが、関係者のご厚意により、葵祭の特別見学、清水寺夜間拝観、祇園祭山鉾に登る体験、京都文化博物館の特別展内覧会、講話と文化財特別公開がセットとなった緑陰講座など、文化体験を提供しています。

 今後とも貴重な府内の文化財を守り、保護のすそ野を広げ、次世代に良好な状態で継承していくことに努力いたしますので、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
(京都府教育委員会文化財保護課長 磯野浩光、府文化スポーツ部文教課 福島孝行)