新たな野党がきのう誕生した。

 立憲民主、国民民主両党などの合流による新「立憲民主党」と、新立民入りを拒んだ議員の新「国民民主党」。

 立民は衆参合わせて150人、国民は15人。立民は久しぶりに大きな勢力を持つ野党第1党となり、きょう発足する菅義偉政権への対決姿勢を鮮明にした。しかし、有権者の関心や期待は高くない。

 安倍晋三政権の「1強」を許した「多弱」の野党。繰り返された離合集散を、有権者は冷ややかに見ていたろう。こうした現実を認識することから、新たな野党は再出発しなければならない。

 強い野党が強い民主主義をつくると言われる。その強さは市民とのつながりがもたらすことを改めて胸に刻んでほしい。

 立民の新執行部をみると、旧党の幹部が配され、代わり映えしない。枝野幸男新代表は合流経緯を踏まえたというが、早くも党内から不満の声が聞かれる。

 トップダウンとも指摘される枝野氏の党運営だが、これからは党内外の意見を生かすことが求められる。「国民生活の現場にこそ足場がある」という意気込みを実践してもらいたい。

 合流議論から地方組織は置き去りにされ、代表選にも参画できなかった。合流に戸惑う地方議員は少なくない。「ボトムアップ型」の政治を旗印にするなら、地方組織を固め、現場の議論や活動を強化する必要があろう。

 旧民主党時代から地域の市民活動やNPOなどとの連携、サポーターづくりを進めているというが、残念ながら広がりは見えない。

 立民に限らず野党は、今こそ地域や現場に目を向けるべきだ。

 東京一極集中が進む中、地方には医療過疎など深刻な課題が放置されている。現代社会は多様化し、性差別などさまざまな問題が出てきている。

 1強の政権であっても、全ての民意をすくい取ることはできない。野党には少数者の活動や弱者の声をくみ上げ、政治の過程に載せる機能がある。民主主義に欠かせない野党の役割だ。

 分断社会の争点に取り組み、少数者の問題提起を政治的に拡大して現状を変えることも、野党に求められるのではないか。政権交代の受け皿をめざすにしても、まず野党の本領を発揮することだ。

 有権者も「野党は批判ばかり」と嘆くだけでは、社会は良くならない。野党を使いこなすことも考えたい。