生徒が課題や学級活動でICTを活用すると答えた中学教員の割合

生徒が課題や学級活動でICTを活用すると答えた中学教員の割合

 児童生徒に1人1台のコンピューターを配備し授業や学習に活用する国の「GIGAスクール構想」が、新型コロナウイルス感染拡大による休校の影響で注目されている。全国の各教育委員会も本格導入に向け準備を急ピッチで進める。京都市教委は今月上旬、職員対象の学習会を市内で開催。文部科学省のICT(情報通信技術)活用教育アドバイザーを務める市教委学校指導課参与の新田正氏は、構想が生まれた背景と目指す教育について解説した。講演内容を紹介する。

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 GIGAスクール構想とは「全ての子どもに個別最適化されグローバルで創造性を育む学びを実現すること」とされている。人工知能による学習状況の分析を一人一人に応じた指導に生かしたり、児童生徒に情報を扱う技術を身に付けさせたりするため、ICTは学校教育に不可欠なものと捉える必要がある。
 日本ではデジタル技術により生活が急激に変化する一方で、少子高齢化が進み、人材不足が深刻化している。これからの社会をリードする人材には新たな価値を創造する、技術革新を社会課題への対応に生かすなどの力が求められる。未来の担い手である子どもたちが身に付けるべき資質と能力が見直され、情報を正確に読み解く力や科学的な思考、好奇心を磨く教育がより重視されるようになった。

 今年から小、中、高校と順次、改訂学習指導要領が実施される。いずれも総則で、情報活用能力を言語能力と同様に「学習の基盤となる資質、能力」に位置付け、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実を明記した。特に高校では、プログラミングに加えネットワークやデータベースの基礎知識などを学ぶ情報の新設科目を必ず履修することとなり、義務教育でどのような情報活用能力を身に付けてきたかが問われる。

 日本の教育は情報化が非常に遅れている。48カ国が参加するOECD国際教員指導環境調査の2018年報告書によると「生徒が課題や学級活動でICTを活用する」と答えた中学教員の割合は、参加国の平均が51・8%であるのに対し日本は17・9%で、最下位から2番目だ。一方、19年度の全国学力・学習状況調査で児童生徒は授業などでのICT活用を望んでいることが分かり、学校の環境整備が遅れてニーズに応えられていない現状が浮き彫りになった。

 ICT環境に自治体間で差があることも課題だ。学校での教育の情報化に関する文科省の実態調査を見ると、京都府内の市町などでも普通教室の無線LAN整備率は0~100%と開きがある。自治体間の格差は年々拡大し、放置できなくなっている。

 そういった状況を背景に生まれたのがGIGAスクール構想だった。早期実現に向け19年には「学校教育の情報化の推進に関する法律」が施行され、閣議決定で互いに関連性が深い科学や技術、数学などを学ぶSTEAM教育や子どもに1人1台のパソコン環境整備などを推進することになった。コロナ禍の休校における学習保障が問題になり、オンライン授業の必要性が認識されたことも影響し、国は構想のための事業費を19、20年度の補正予算で相次いで計上した。

 構想ではハード面の整備と共に、デジタル教科書や各児童生徒の学習状況を分析するAIドリルなど教育コンテンツの充実、ICTを活用した教員の指導力向上も求められる。コンピューターは令和の文房具。使うことが目的ではなく、一人一人の習熟度などに応じた学習を促進する手段と捉えてほしい。