大津地検

大津地検

 滋賀県内で昨秋、乳児の腕にかみつき、全治1週間のけがを負わせたとして傷害罪に問われ、大津地裁で公判中の県内の20代の母親について、大津地検は18日、地裁に起訴を取り消す申し立てをしたと発表した。乳児の傷痕と母親の歯型がほぼ一致するとして有罪主張の根拠としていた鑑定について、滋賀県警が別人の歯型と取り違えていたことが判明し、「実行行為者ではない」とした。地裁は同日、公訴(起訴)棄却を決定した。

 地検や県警などによると、昨秋ごろ、母親が生後約1カ月だった息子を病院で受診させた際、医師が不審な傷痕を見つけた。児童相談所を介して通報があり、捜査を開始。かみついたような痕などがあったため、県警の鑑定官が母親ら複数の関係者から歯形を採取し複製を作ったが、その際に誤って別人の複製に母親の名前を記入した。その複製と傷痕を照合して「おおむね一致」との結果を得て、大津署が昨年10月17日に母親を逮捕した。

 母親は逮捕時、「かんだことに間違いない」などと容疑を認めたが、公判では起訴内容を否認。今年1月に地裁で行われた鑑定官への証人尋問で、弁護人の植平朋行弁護士が母親の歯型と傷痕の歯の本数が一致しない点などを指摘したところ、鑑定官が「入れ違いの可能性がある」と証言。公判は中断し、県警や地検が再捜査をしていた。

 母親は現在、県内で暮らしており、地検と県警は17日、直接謝罪。地検の山上真由美次席検事は18日会見し、「県警から送致された重要な証拠の誤りに気付かず起訴し、心からおわびする」と頭を下げた。県警は川口豊刑事企画課長が会見し、誤認逮捕を認めた上で、「二度と起こらないよう再発防止に努めたい」と時田保徳刑事部長のコメントを読み上げた。