公費で賄われる首相主催の「桜を見る会」について、菅義偉首相は来年以降の中止を表明した。

 だが、安倍晋三政権での私物化疑惑や公文書管理問題は残ったままだ。中止で幕引きを図ることはあってはならない。菅首相は判断の説明責任を果たすべきだ。

 共同通信の世論調査によると、菅内閣の支持率は66・4%に上った。森友、加計学園や桜を見る会の問題を「再調査するべきだ」との回答も62・2%で、「再調査する必要はない」の31・7%を大きく上回っている。

 前政権の残した数々の疑惑について、多くの国民は納得していない。新政権の高い支持率にはこうした疑惑解明への期待も含まれているのではないか。

 桜を見る会については、菅氏自身が官房長官時代に招待基準などを「全般的に見直す」と説明している。その見直しの結果や会の在り方の総括を示さないまま、中止にしただけで済む問題ではない。

 会は1952年から続き、「各界で功績や功労のあった人の慰労」が目的だ。野党からも、その意義自体は否定されるものではないとの声が上がっている。

 第2次安倍政権以降に参加者が膨らみ、安倍氏の地元事務所は後援会関係者ら向けのツアーを企画していた。預託商法を展開し、きのう詐欺容疑で逮捕された「ジャパンライフ」元会長の山口隆祥容疑者が首相推薦枠で招待されたり、「反社会的勢力」の人物が参加したりしていた疑惑もある。

 さらに内閣府は招待客の名簿をシュレッダーで廃棄したが、直前に野党議員が資料要求していた。電子データも消去し、バックアップデータも含めて「復元は不可能」としている。

 会の前夜にあった夕食会の支出に関しては、後援会員が支払った会費との差額を安倍氏側が負担したのではないかとの疑惑が拭えていない。

 多くの疑問、不可解な点について十分な説明はなく、森友・加計学園問題とともに長期政権のおごり体質を浮き彫りにした。

 菅政権は前政権の継承を掲げるが、疑惑隠蔽(いんぺい)まで継承することを国民は望んでいない。菅政権が問題を検証するかどうかは、負の遺産にどう向き合うかの答えになるだろう。

 菅首相は「あしき前例主義を打ち破る」と主張し、行政機構改革に取り組むとしている。足元にある疑惑にふたをして改革を訴えても説得力はない。