アイルランド戦に勝利し笑顔を見せる坂手(9月28日、静岡スタジアム)=撮影・三木千絵

アイルランド戦に勝利し笑顔を見せる坂手(9月28日、静岡スタジアム)=撮影・三木千絵

 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で史上初の8強入りを狙う日本が13日、横浜市の日産スタジアムで1次リーグA組突破を懸けてスコットランドと対戦した。控えに回っていた坂手淳史(パナソニック、京都成章高―帝京大出)が後半から途中出場し、大一番で輝きを放った。

 「この瞬間のグラウンドに立てることが本当にうれしかった」。ラグビーのワールドカップ(W杯)で日本が優勝候補のアイルランドを破った9月28日の試合後、坂手は喜びをかみしめるように語った。26歳のフッカーは次代のリーダーとして不可欠な存在に成長し、今月5日のサモア戦で待望のW杯初先発を果たした。

 アイルランド戦の最優秀選手に選ばれた堀江(パナソニック)を追う2番手のフッカーとしてチームを支える。大会前に堀江が負傷して離脱した際は先発出場し、昨年はニュージーランドやイングランドと真剣勝負を経験。「スクラムでは僕がリーダーにならないといけないと思う」と強い自覚を持つ。

 小さい頃から責任感が強かった。実業団のバレーボール選手だった両親に育てられ、小学生までは地域のバレークラブに所属。野球やドッジボールなどの遊びでも大人を相手に真剣に挑んだ。母の真弓さん(53)によると、正義感に駆られて「普段の練習に来ないのに試合だけ出ていた友達の家に一人で怒りに行ったこともある」という。

 ラグビーは神川中(京都市伏見区)で始めた。練習初日に家に帰ると、玄関で真弓さんの帰宅を待っていた。「(パスがうまくできない自分に対して)俺、許せへん」とボールを買いに行き、翌日から母と二人で特訓をした。自分に厳しく、明るい性格でチームメートを引っ張るキャプテンシーが開花。中学、高校、大学でいずれも主将を務めた。

 中学時代から、トップリーグに入って日本代表となり、世界最高峰リーグのスーパーラグビーでプレーするという高い志を家族に語っていた。W杯日本大会の開催が決まった2009年は高校生。「10年後は『お前たちの年代が核になる』と言われていた」と大舞台を意識してプレーしてきた。

 そして今、憧れの大会で日本代表としてプレーする。坂手をはじめ、WTB福岡(パナソニック)やSH流(サントリー)、ナンバー8姫野(トヨタ自動車)ら同世代の活躍もあり、目標のベスト8入りに近づきつつある。「(主将の)リーチさんを中心にまとまりがあり、全員が互いを信頼している。チームの一員でいることが誇りだし、この経験を生かしていきたい」。悲願達成に突き進む。