全人類を苦しめる新型コロナウイルスだが、当のウイルスに誰かを苦しめている自覚は薄いかもしれない。ウイルスから見て人は、人にとっての地球以上の大きさだ。人類は地球の痛みを感じているだろうか▼カエル、サンゴ、コウモリ…。私たちの便利な生活の陰で毎年数万と推定される種が消えている。生息地の減少や外来種の移入、地球温暖化などによると考えられ、「第6の絶滅期」と科学者らは警告する▼6500万年前の恐竜絶滅など、地球では過去5回大きな絶滅があった。隕石(いんせき)の衝突や環境変化が原因だが、同様の被害を人間がもたらしているという。地球にとって人類はウイルスのような存在と言えないか▼一方のウイルスは長期的には毒性を弱めると考えられている。感染した宿主を死なせることはウイルスが生き残る上で得策ではない。人類と長く共生するウイルスには免疫力を高めるなど役立つものもいるようだ▼女性の胎盤形成には遠い祖先が感染したウイルスが人の遺伝子の一部となって関わっているという。2000年に発表され世界を驚かせた。私たちの命はウイルスのおかげとも言える▼地球は人類だけのものではなく、文明を存続する上で他の生物との共生は欠かせない。宿主を生かすウイルスの戦略に学ぶべき点はないか。