100歳以上の高齢者が8万人を超えて過去最多となった。50年連続して増加している。

 昨年の調査で7万人を超えたばかりで、年間の増加人数も過去最多という。100歳を超えて趣味や地域活動に精を出している人も今や珍しくない。

 健康で長生きする秘訣(ひけつ)は、好きなことを積極的に楽しむ姿勢にあるのだろう。2019年の日本人の平均寿命は女性が87・45歳、男性が81・41歳。女性は5年連続で世界2位、男性は3年連続で3位だった。

 きょうは敬老の日。「人生100年時代」は、もはや大げさとは言えない。「老い」や「敬老」の意味について改めて考えさせられる。

 とくにコロナ禍にあって、身近な高齢者の存在をこれまでにない形で感じた人もいたのではないか。重症化しやすい高齢者への感染を防ごうと、敬老会が中止になったり、子や孫が接触を避けたりした。

 基礎疾患を持つ人は病状が悪化する確率が高まる。健康を保ちながら年齢を重ねることはますます重要だと言うのは、「人生100年」の提唱者で知られる英ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏だ(「コロナ後の世界」)。

 新しい生活様式が問われるコロナ時代は、高齢者を巡る社会の在り方について捉え直す契機にもなるのではないか。

 少子高齢化や人口減少について、日本では負のイメージで語られ過ぎだと指摘する海外の有識者は少なくない。

 グラットン氏は、高齢化のプロセスにいち早く踏み出した日本は世界のトップランナーであり、この5~10年で日本がどのような行動を起こすのか、各国が注目していると指摘する。

 長寿をポジティブに捉えることが高齢化社会を打破する鍵であり、「高齢者はこういうものだ」と思い込むのではなく、枠にとらわれない自由な発想をすれば高齢者は社会に大いに貢献できる存在なのだとの主張には耳を傾けたい。

 戦後間もないベビーブーム期に生まれた「団塊の世代」全員が後期高齢者になる25年が近づいている。このタイミングで日本のリーダーとなった菅義偉首相がまさにこの世代なのは、象徴的かもしれない。

 日本生命保険の保険契約者に対するアンケートで、定年退職後も仕事をしたいと回答した人は64%に上った。各種調査で65歳以降も働きたいという人は増えており、日本は先進国の中でも意欲が高いと言われる。

 だが気になる点もある。アンケートでは、生活費や医療費の不安から収入を確保したいという人が多かった。長寿化の一方で、長い老後の人生設計に戸惑う人も少なくないということだ。

 菅首相は目指す社会像に「自助・共助・公助」を挙げる。公助にあたるセーフティーネット(安全網)をいかに充実させるかは政治の重要な役割である。

 だれもが100歳まで楽しく安心して老いる環境があってこそ、高齢者の力は存分に発揮されるのではないか。