乗用車など3台が土砂崩れに巻き込まれた現場(7月9日午前10時25分、京都市西京区大枝沓掛町・沓掛インターチェンジ)

乗用車など3台が土砂崩れに巻き込まれた現場(7月9日午前10時25分、京都市西京区大枝沓掛町・沓掛インターチェンジ)

 インターネット向けの記事を取材、執筆する部署で、今夏から大雨や台風、猛暑などの災害や気象に関する「地元密着」の報道に取り組んでいる。刻一刻と変わる予報や災害の状況を速やかに伝えなくてはならず、朝・夕刊という1日2回のタイミングでニュースを届けている新聞とは異なり、手探りの部分が多い。

 今年7月上旬、梅雨前線の停滞で京都府は長雨となり、京都市や亀岡市で土砂崩れが相次いだ。京都新聞は、紙面とは別に「京都市北区に避難指示」「桂川の水位が上昇」などネット記事29本を速報したが、課題が残った。

 例えば7月9日午前7時半ごろ、京都市西部でゲリラ豪雨となり、京都縦貫自動車道沓掛インターチェンジ(西京区)で土砂崩れが発生し、2人のけが人が出た。京都地方気象台は、9日午前5時53分に「警報級の大雨になる可能性」と注意喚起。同7時前に京都市や亀岡市に大雨警報を発表していた。

 京都新聞は、気象台の情報を元に同7時28分、「少ない雨でも土砂災害に警戒を」とネットで速報した。しかし、災害発生とほぼ同時刻になってしまった。

 ただ、ネットという速報可能な手段がある以上、地元の報道機関が手をこまねいているわけにはいかない。これまで新聞は朝・夕刊で気象災害への注意喚起を伝えていたが、新聞が届く頃には「時、既に遅し」だったことがあったからだ。

 京都新聞がネット記事に注力する前の2013年、私は災害・気象の担当だった。同年9月の台風18号では、猛烈な雨で桂川や由良川が氾濫、全国初の特別警報が発表された。京都新聞は、接近前日に「大雨の恐れ」などと紙面で伝えたが、「きょう上陸も」とした朝刊が届いた時点で、既に桂川や由良川流域で浸水害が多発していた。

 今ならば、雨が強まった接近前夜に、「猛烈な雨、上階に避難を」などのネット報道が可能だ。京都新聞のツイッターのフォロワーは15万人おり、命を救う行動につながるかもしれない。

 災害報道では、効果的に危険を伝える工夫も必要となる。京都地方気象台は近年、記録的な豪雨や暴風が予想される際、府内で15人が死亡した「2004年台風23号」など、過去の風水害を引用して警戒を促している。

 京都新聞のネット記事も、関連リンクに「四条通がゲリラ豪雨で川のように」など過去の地元の災害記事を添付している。府民にとって身近な場所が被災した歴史を届け、「自分の事」として危険性を感じてほしいからだ。

 一方、むやみにネット記事を配信することはリスクも伴う。2009年、兵庫県佐用町で避難勧告を受けて深夜に避難中の住民が、濁流にのまれて多数犠牲になった事例がある。命に関わる情報発信のため、文言やタイミングに細心の注意が求められる。

 今後も京都新聞は自社ホームページやツイッターなどで、地元密着の気象、災害情報を速報する。ご覧になっていただき、改善点があればご意見を投げ掛けてほしい。