「バンカー」と聞けば、ゴルフコース難所の砂地のほか、最近は人気ドラマの主人公が活躍する銀行員を指す言葉として思い浮かべる人が多いのではないか▼かつてのお堅い、安定した職業のイメージは、バブル経済とともに崩れ去った。それでも主人公は、ものづくりや商売を資金面で支え「人々の暮らしを豊かにするのがバンカーの誇り」と訴える▼現実のバンカーたちをいま、ざわつかせているのが菅義偉首相だろう。全国に103ある地方銀行は「数が多すぎる」と指摘し、統合や再編の必要性に踏み込んで言及した▼バンカー多難の時代である。金融緩和による超低金利で本業の融資で稼げず、人口減少で地域経済が先細っている。さらにコロナ禍の追い打ちだ。経営不安の未然防止を掲げ、金融庁が後押しする地銀再編の圧力が新政権で強まるとみられている▼だが、経営統合で規模を拡大し、店舗網の整理で生き延びても、地域の事業者や住民にとって身近さを失っては本末転倒だ。地元の苦境を支え、将来を育むため一緒に汗をかいてこそ必要とされる▼国は地銀再編に前のめりだが、かんぽ問題や電子マネー決済の不正対策で後手が目立つ。強引に改革実績を求めて人々の安心を軽んじれば、砂地の落とし穴に陥って抜け出せなくなりかねない。