学校法人立命館が、草津市と京都市北区の同大学キャンパスにある2学部2研究科を、2024年春に大阪府茨木市のキャンパスへ移転すると発表した。

 移転する学生は草津が約2400人、京都が約660人。それぞれのキャンパスの学生総数の16%、5%に当たる。地域への影響は少なくないとみられるが、市長が立命館の評議員を務める京都市と異なり、草津市には今回の発表は寝耳に水だったようだ。

 草津市と滋賀県は立命館に、キャンパスの将来構想を示して市・県と意見交換するよう申し入れた。コミュニケーションを改めて密にしてもらいたい。

 1994年のキャンパス開設時、草津市と県は、市南東部の丘陵地58ヘクタールを造成して立命館に無償提供した。投じた公費は135億円に上る。

 当時は18歳人口のピーク期で全国的に大学や学部の新設が相次ぎ、国の後押しもあって地方自治体が誘致を競った。滋賀はとりわけ積極的で、国立2大学と短大しかなかった県内には現在、ほかに私立8、県立1大学が立地。人口比で全国最下位だった四年制大学の学生数は一時、京都府、東京都に次ぐ3位になり、地価上昇など大きな経済効果を地域にもたらした。

 だが、ここ数年は大学が都心へ戻る動きが強まっている。埼玉県久喜市では、30億円を負担して誘致した東京理科大経営学部が2016年に全面撤退した。滋賀でも、05年の守山市からの平安女学院大の撤退後、15年に立命館大が今回と同じく草津市から茨木市へ経営学部を、龍谷大が大津市から京都市へ国際文化学部を移している。

 歯止めのかからない少子化と大学進学率の頭打ちが背景にある。学生確保のため、学部移転やキャンパス再編は今後も続くだろう。定員割れで赤字経営の大学を誘致自治体が支える例も増えており、地方の私立大を公立化するのはその一例だ。

 気がかりなのは、せっかく誘致した大学・学部を失うまいと、先の見通しのないまま新たな補助や追加の支援をすることになりはしないかという点だ。

 もとより、大学誘致は企業誘致などと比べて指針やルールが曖昧で、各自治体が個別に支援の中身と規模を決めていることが多い。誘致の際に熱心だったまちほど、追加支援にも前のめりになりがちだ。

 地域活性化―。大学誘致の効果はよく、こう語られる。だが立地の前と後で人口や税収、さらには消費動向、産業構成、文化教育レベルなどがどう変化したかを自治体が把握し、住民に「見える化」してきたか、振り返って点検すべき時に来ている。

 教育面でも、経済面でも大学は貴重な存在だ。だからこそ、まずは大学側とビジョンを共有し、支援の目的と範囲を明確にして、納税者の理解を得ることを肝に銘じてほしい。

 大学側にも、これまでとこれからの地域貢献について説明する責任がある。人口減は大学と誘致自治体の共通課題だ。高度な知と人材を生かし、まちづくりをサポートしてもらいたい。