廃炉に向けた最難関の作業への一歩となるのだろうか。

 東京電力が、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内で溶け落ちた核燃料(デブリ)の接触調査を初めて行い、外部への取り出しが可能との認識を示した。

 デブリとみられる堆積物の一部を持ち上げることが可能と分かったためだ。30~40年かかるとされる廃炉作業を進めるうえで最も困難とされるデブリ取り出しへの端緒が見つかったといえるだろう。

 調査は遠隔操作できる装置をケーブルで格納容器の底に下ろし、大きさ数センチの小石状の堆積物などが動くことを確認した。

 ただ、硬い堆積物もあり、削るための機器の開発が必要となることも分かった。デブリの状況はまだ不明な部分が多い。安全、確実な廃炉に向け、今後も研究を重ねていかねばならない。

 福島第1原発の廃炉工程では、2021年からデブリの取り出しを開始する計画で、2号機がその先陣を切ることになりそうだ。

 水素爆発を免れた2号機は昨年1月、カメラ付きパイプを使って溶け落ちた燃料集合体の一部を確認し、周辺の堆積物をデブリと断定した。事故を起こした3基の中では最も内部調査が進んでいる。

 だが、2号機の建屋屋上の空間線量はまだ人間が作業できるレベルではない。屋上部にあるプールには強い放射線を出す使用済み核燃料が615体も残る。廃炉作業のリスクとなるこれらの搬出作業も早急に終えなければならない。

 1、3号機もそれぞれ異なる困難な状況を抱える。1号機はデブリが未確認で19年度にロボットを入れて堆積物を採取する段階だ。3号機は機器トラブルの頻発で、使用済み核燃料をプールから取り出す作業が遅れている。

 事故から8年たって、廃炉作業は緒に就いたばかりだ。気の遠くなるプロセスだが、作業が着実に進むような支援が欠かせない。

 気になるのは、そのバックアップ体制が継続されうるかという点だ。政府の試算では、賠償などを含む事故処理費用は当初想定の11兆円から21兆5千億円に倍増、廃炉だけでも2兆円の想定が8兆円に膨らんでいる。

 新たな技術開発などで想定外の費用がかかる可能性もある。

 長期にわたってコスト負担していく意味を、事故発生時に生まれていなかった世代も含む国民全体に納得してもらうことが重要となる。国や東電は、情報公開や説明に労を惜しんではならない。