安全保障関連法の成立から5年がたった。

 自衛隊は米軍が世界中で行う活動に協力できるようになった。日米同盟は自衛隊と米軍の運用一体化が加速している。

 法制化を主導した安倍晋三前首相は、海洋進出を強める中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮などを念頭に、今後の安全保障環境に対応した日米同盟強化のため、同法が必要と強調した。

 ただ、歴代政権が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を、閣議決定で容認した。憲法解釈の変更をベースにした安保関連法は「違憲」だとする指摘がある。

 菅義偉首相は「日米同盟を基軸とした外交・安保政策」を掲げ、安倍路線を引き継ぐとしている。現実を踏まえつつ、「抑止力」を名目とした自衛権の行使がなし崩し的に広がることにどう歯止めをかけるのか。国民に説明する必要がある。

 安保関連法の成立後、集団的自衛権が行使された例はない。ただ、平時から自衛隊が米軍の艦艇や航空機を守る「武器等防護」は、2017年は2件だったが、18年に16件、19年は14件と実績を積み上げている。

 米軍との連携を念頭に置いた自衛隊装備の強化も進んでいる。安倍前政権は、いずも型護衛艦の事実上の空母化や米国製ステルス戦闘機の大量調達を決めた。

 国民を守る手だては尽くさなければならない。だが、日米同盟の強化は、米国の主張を一方的にのむことではない。

 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を巡る交渉がこれから本格化する。トランプ米大統領は大幅な負担増を求めている。米軍基地の在り方や日米地位協定の見直しも含め、日本の正当な負担や責任は何かを示し、正面から公平な同盟について議論すべきだ。

 憲法上の位置付けがあいまいなまま、武器を使用する事態に対処できるかの課題も残されている。

 政府は、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入断念に伴い、相手領域内で弾道ミサイルを阻止する「敵基地攻撃能力」を保有するかについての方向性を年末にも示す意向という。

 敵基地攻撃能力を巡っては、専守防衛の原則の形骸化につながるとの懸念が強い。憲法と整合性をとりながら、日本の平和・安全をどう守るのか、国民的な議論が求められよう。