東京五輪招致を巡る疑惑が、また深まったのではないか。

 招致委員会がコンサルタント契約を結んで2億円超を振り込んだシンガポールのブラックタイディングス(BT)社の口座から、国際オリンピック委員会(IOC)元委員の息子パパマッサタ氏側に約37万ドル(約3700万円)が送金されていたことが判明した。

 招致委の資金が不正に使われたことが疑われる。五輪関係者への贈与を禁じたIOC規定にも抵触する可能性がある。

 徹底した真相解明が必要だ。

 招致委が振り込んだ資金については、元委員親子の汚職疑惑を調べるフランス当局が、票の取りまとめなどの支援を得る賄賂だったとみて、日本オリンピック委員会(JOC)前会長の竹田恒和氏を贈賄容疑で捜査対象にしている。

 JOCは2016年に公表した報告書で、BT社との契約に違法性はなく、IOC規定にも違反していない-と結論づけた。

 しかし今回、送った資金がIOC関係者の親族に流れていた疑惑が明るみに出たことで、報告書の正当性は大きく揺らいだ。JOCは改めて説明すべきではないか。

 パパマッサタ氏への送金は、共同通信などが参加する国際調査報道ジャーナリスト連合の取材で明らかになった。

 それによると、招致委が13年7月と10月に送金したBT社の口座から、パパマッサタ氏本人や同氏の企業、宝飾品を購入した店舗などに資金が振り込まれていた。

 BT社の代表者はパパマッサタ氏と親密で、BT社を経由する形で招致委の資金が元委員親子側に流れた構図が浮かび上がる。

 竹田氏は、BT社への支払いは「コンサル契約に基づいたもの」であり、その後の資金の流れは当時一切知らなかったとしている。

 ただ、BT社はほぼ無名だったのに、代表者の言い値による高額報酬が約束されていたという。契約の必要性を誰が、どのような根拠で判断したのかなど、不透明さがぬぐえないままになっている。

 五輪招致には巨額のカネが絡みがちだ。1998年長野五輪などでも問題視され、IOC委員の候補地訪問は禁じられた。そのことが逆にコンサル会社の暗躍を許す状況になった。

 招致活動の在り方を抜本的に見直さなければならない。

 疑惑が払拭(ふっしょく)されないままでは来夏に延期された東京五輪開催へ国民の支持は得られない。関係者は改めて心に留めてほしい。