大津市役所

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 大津市職員が2013年に右翼関係者を伴って市に人事異動の希望を通すよう不当に要求したとされる問題で、関連公文書の非公開決定を取り消すよう市に命じた大津地裁判決確定後、当時の越(こし)直美市長から「資料の廃棄を指示された」と秘書課に所属していた職員が市の調査に対し、証言していることが、市への取材で分かった。資料には関連公文書のコピーが含まれていた。一方、越氏は24日、取材に対し「指示した覚えはない」と否定した。

 越氏は今年1月までの在任中、原本は廃棄されたとの認識を示し、市もコピーの存在を明らかにしていなかった。実際にはコピーは廃棄されなかったが、この文書開示を巡り、市を相手にした別の訴訟の原告代理人は同日、「不祥事を明るみに出さないための意図的な『証拠』隠しだ」と批判し、経緯の解明のため、越氏の証人尋問を地裁に請求した。

 公文書は、「不当要求」の詳細報告など。事案に関係していた男性職員が13年12月、公開を求めたが、市は非公開決定とした。男性は15年4月に決定取り消しを求めて同地裁に提訴し、訴えを認める判決が17年2月に最高裁で確定した。

 京都新聞社が入手した市の資料などによると、市は今年1月の越氏退任後、関係職員に聞き取り調査を行った。その中で、秘書課(当時)職員が、市の敗訴確定から約3カ月後の17年5月ごろ、「越前市長から不要となったファイルや資料を廃棄するよう指示を受けた」と証言した。この職員は、受け取ったファイルが訴訟関連資料だったため、廃棄せず、課内で保管していたという。原本の廃棄経緯は不明との結論に至った。

 取材に対し、越氏はコピーの廃棄について「ファイル自体に覚えもないし、指示もしていない」と説明。原本については「文書の管理については部下に任せており、廃棄の指示は絶対にしていない」と述べた。

 市は、敗訴確定後、男性職員に事案の概略を記した1枚を開示し、詳細報告などの原本は「不存在」「保有していない」とした。男性は開示を拒まれて精神的損害を受けたなどとして、市に損害賠償を求めて同地裁に提訴し、係争中。代理人の池田良太弁護士は「コピーの廃棄の指示は司法の判断を無視しており悪質だ」と主張する。市は「コピーはあくまで手持ち資料で、当時は公文書には当たらない」と釈明したが、今後はこのコピーを原本として扱うという。