第2次世界大戦の反省から国連が創設されて75年になる。新型コロナウイルスの世界的流行や気候変動による大規模災害に見舞われるなか、国連が掲げる国際協調の理念は重要性を増している。

 ところが、節目の年に開かれた国連総会は、米国と中国が互いを非難し合う舞台と化している。新型コロナをめぐり「中国が世界に拡散させた」と批判すれば、「汚名を着せることに反対する」と言い返すありさまだ。

 世界は対立と分断が拡大し、危うい状況にある。国連の存在意義が問われていると言えよう。

 そもそも国連の安全保障理事会が対立の場になっている。常任理事国の米国、英国、フランス、ロシア、中国が自国の権益優先を強め、特に米中ロの反目が国連の協調主義を台無しにしている。

 これでは世界の諸課題を各国が協力して解決する機運は出てこない。今度こそ国連改革に向け大きく踏みださないといけない。

 75周年の記念会合で採択した宣言は、「より良い世界への希望を与える国際組織は他に存在しない」とうたいあげている。現実は貧困や核兵器拡散、生物多様性の喪失など問題が山積しており、宣言で「多国間主義の再生」こそ解決への道と強調する。

 米国の単独行動に強い不満を示してもいよう。地球温暖化対策のパリ協定やイラン核合意からの離脱、世界保健機関(WHO)からの脱退など、トランプ米政権は世界と協調する姿勢を見せない。

 一方で、中国は国際機関の重要ポストに就いているが、国際的な信頼はまだ十分とはいえまい。

 日本は国連75周年に合わせ、同じく常任理事国入りをめざすドイツ、インド、ブラジルとともに安保理改革を求める声明を出し、諸課題への対処強化には常任・非常任理事国の拡大が不可欠と指摘した。国連創設時に51カ国だった加盟国は193カ国に増え、世界状況も大きく変化しているのに、常任理事国は戦勝5カ国のまま。改革のみが「安保理が時代遅れになることを防ぐ」と珍しく強い表現だ。

 国連は、市民や非政府組織(NGO)とつながる姿勢を示している。3年前に採択された核兵器禁止条約はNGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や広島・長崎の被爆者らが国連で訴え続けた成果だ。ICANは同じ年にノーベル平和賞を贈られている。

 国連の改革は、世界の市民活動に動かされて道が開かれないだろうか。期待したい。