新型コロナウイルス治療の現状や対策などについて話す山本医師(福知山市厚中町・福知山市民病院)

新型コロナウイルス治療の現状や対策などについて話す山本医師(福知山市厚中町・福知山市民病院)

 新型コロナウイルスの感染拡大が全国で続いている。秋から冬にかけてはインフルエンザとの同時流行も懸念される。感染症指定医療機関として新型コロナ患者の治療にあたる京都府福知山市立福知山市民病院の山本千恵・呼吸器内科医長(34)に、治療の現状や今後の見通しを聞いた。

 -病院では何人の感染者の治療をしてきたか。

 「これまで20人が入院した。軽症の人が多く、人工呼吸器が必要になった人は2人。症状は個人差があるが、熱を出す人が多い。のどの痛みや味覚障害、嗅覚障害が出る人もいる。新型コロナの特徴は症状が長く出ること。2、3週間続く人もいる。重症化の目安は10日目と言われており、急激に悪化することもある。年齢が高く基礎疾患がある人が重症化しやすい傾向はあるが、若い人が重症化しないわけではない。世界では後遺症があるケースも報告されている」

 -患者の様子は。

 「誰にも会えない環境で、自身のことだけでなく家族や仕事のことで不安を抱え、落ち込む人が多い。精神面のケアも必要と考え、治療の際には病気とは関係ない話題で雑談するようにしている」

 -3月には福知山市民病院内でも感染者が出た。

 「初めて患者に対応した3月上旬ごろの治療は手探り状態だった。治療法は少しずつ分かってきて、国の手引きを参考に、必要な人には血栓予防や炎症を抑える薬、抗ウイルス薬などを投与している。症状が安定している人は投薬をせず様子を見ることもしている」

 -病院内の感染対策は。物品や人員は足りているか。

 「防護服を着た上で、感染者と非感染者が交わらないようにゾーニングをするなどの対策を徹底している。個人用防護具は少ない中で何とかやりくりしている。医師や看護師らスタッフは常に足りていない。都市部の病院と比べて少なく、みんな通常業務と並行してコロナの治療にあたっている。人のやりくりは非常に厳しい状態」

 -インフルエンザと同時に流行したら病院の体制に影響が出るのでは。

 「同時流行の可能性は十分にある。春の第1波の時は国が緊急事態宣言を出し、移動を減らすよう呼び掛けた結果、感染者が減ったことが明らかに分かった。今は減らすために具体的に何をやっているか分かりにくく、Go To キャンペーンなどをやって大丈夫なのかという懸念はある。病院はただでさえスタッフが少なく、同時流行が起きると外来の制限など通常の診療に支障が出る可能性が高い」

 -国に求めたいことは。

 「感染者を減らしてほしい。物品や病床の確保、手当てを出すといったことも必要かもしれないが、根本的な解決にはならない。感染者が増えている中では、旅行などをするにも怖いと思う。元の生活に戻るためにも感染者を減らすことは不可欠だと思う」

 -市民は何に気をつけるべきか。

 「新型コロナとインフルエンザの対策は共通している部分も多い。今からできる対策としてインフルエンザのワクチン接種も勧めたい。認識してほしいのは、新型コロナに関しては特効薬があるわけではないということ。感染しない、させないことが大事。感染すると体だけでなく、社会的、精神的にダメージを受けることを知ってほしい」

 やまもと・ちえ  1985年生まれ、松山市出身。愛媛大卒。京都第二赤十字病院や京都府立医科大付属病院などを経て、2019年から現職。