「紳士の国」英国初の女性首相のマーガレット・サッチャーさんは、妥協しない強硬な政治姿勢から「鉄の女」と称された。「英国病」と呼ばれた疲弊を荒療治で立て直し、国のかたちを大きく変えた▼米誌タイムが「20世紀で最も重要な100人」に挙げた女性指導者の先駆けで、「家庭の問題を理解できる女性なら誰でも、国の課題もより理解できる」と女性活躍への期待を語っていた▼「20世紀で―」の好評を受け、毎年選定される「世界で最も影響力のある100人」に、性暴力被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織さん(31)が選ばれた。女子テニスの大坂なおみ選手(22)も2年連続だ▼「魂の殺人」とも言われる性暴力を自ら語ることはタブー視されがちだ。しかし「真実にふたをしたら私が私でなくなってしまう」と公表した▼この勇気ある行動は、性被害を告発する「#MeToo」運動などを後押しし、男性中心の社会の枠組みを変えつつある▼新しい芽が出始めたかにもみえる。とはいえ「女性活躍」の掛け声とは裏腹に日本社会の現実はなお厳しい。「20世紀で―」に入った日本人はソニーの共同創業者盛田昭夫さんだけだったが、今世紀末に「21世紀で―」が選出されるならば、きっと多くの日本人女性が名を連ねていると信じたい。