手軽に乗れる自転車だが、危険な運転が目立ち、全国で違反の摘発が急増している。警察庁のまとめで違反行為が昨年、初めて2万件を超えた。

 健康志向に加え、新型コロナウイルスの感染リスクを減らすため自転車利用が増えており、交通ルール順守の徹底が急務と言えよう。

 全国の警察が自転車の違反取り締まりを強化した結果、摘発は2015年に1万件を突破し、その後も年々増えている。昨年は2万2859件に上り、京都は365件、滋賀27件だった。

 最も多かったのは信号無視の1万2472件で過半数を占めた。遮断踏切立ち入りや一時不停止も目立つ。周りに注意を払わず漫然と自転車に乗っている人が多いのではないか。傘差しや酒酔い運転の摘発もあった。

 昨年は自転車乗車中に427人が亡くなっている。うち8割近くに信号無視といった法令違反があり、違反行為が死亡事故の背景となっているとみられる。

 自転車は運転免許制度がないものの道交法では「軽車両」に分類され、原則車道の左側通行といったルールに従った運転が義務付けられる。違反すると罰則が科せられる場合もある。特に悪質な「危険行為」に対し安全講習制度が導入され、今年6月からあおり運転も危険行為に加えられた。

 自転車であっても重大事故を招くことを十分に理解すべきだ。とりわけ重量のある電動アシスト車や速度が出やすいスポーツタイプが普及し、危険性がますます高まっていることに注意したい。

 警察庁によると、今年上半期の違反件数が1万2839件と昨年を上回る勢いという。

 コロナ禍で人混みを避けようと自転車通勤の人気が高まり、自転車による配食サービスの利用が多くなっているのが起因しているようだ。昨今、自転車で高速道路に進入したり、スマートフォンを操作中に歩行者とぶつかったりするトラブルが後を絶たず、危険運転が横行するのが気掛かりだ。

 しかし危険性が社会で広く認識されているとは言い難い。自転車でも歩行者を死傷させれば高額な損害賠償を命じる判決も出ている。ルールを守るという意識を社会で共有していく必要があり、自分は大丈夫という過信は禁物だ。

 交通マナーの向上と同時に、歩行者や自動車と共存しつつ安全に自転車に乗れる道路環境の整備も欠かせない。国や自治体は環境改善に一層努めてもらいたい。