窯変の美 一望

自然が生む魅力、3視点から迫る

 素朴なぬくもりのある土肌、豊かな火色。釉薬を施さない「焼締(やきしめ)陶器」は、信楽の土の魅力が最もよく現れる。独特の土と炎が生み出す窯変の美を紹介する特別展「奇跡の土 信楽焼をめぐる三つの景色」が10月3日、滋賀県立陶芸の森陶芸館で開幕する。

信楽 大壺 室町時代(15世紀) 滋賀県立陶芸の森陶芸館蔵

 信楽の土は古来、「奇跡の土」と呼ばれてきた。古琵琶湖層群からとれる土は、花崗(かこう)岩由来の白土、長石、石英に富み、粘りが良くコシが強い。先人たちは高温の薪窯の中で生まれる思いがけない色合い、美しい模様を「景色」として見いだしてきた。本展は三つの視点からその魅力に迫る。

信楽 茶碗 桃山時代(16世紀) 愛知県陶磁美術館蔵
常滑 猫がき文大甕 12世紀後期 とこなめ陶の森蔵

 第1は「日本六古窯と信楽焼の景色」。信楽、瀬戸、常滑、越前、備前、丹波の六古窯の共通点、歴史の展開を、中世から近世にかけて作られた壺(つぼ)、甕(かめ)、茶道具の名品から探る。信楽焼を軸に、産地の土や焼成の違いから生じる形状や景色の違いを見比べる。

ケン・ファーガソン 信楽手うさぎのバスケット 1994年 滋賀県立陶芸の森陶芸館蔵

 第2は「信楽焼とアメリカ陶芸」。ひびや亀裂、粗い肌など自然のもつ力強さを率直に見せる信楽焼は、海外にも衝撃を与えた。信楽で滞在制作した現代陶芸界の旗手ピーター・ヴォーコスやケン・ファーガソン、地元の神山易久らの作品を日米交流の中からひもとく。米国の美術館コレクションとなった古信楽も写真パネルで紹介。信楽焼を海外に知らしめた研究者ルイズ・コートの著作を、彼女が撮影した50年前のまちの風景とともに展示する。

澤清嗣 破れ器 2020年 個人蔵
上田直方(6代) 信楽皆具 2019年 個人蔵
奥田博土 時空 2018年 個人蔵

 第3は「信楽・焼締めの今」。焼締めの特性を現代に生かす作家たちを取り上げる。澤清嗣、上田直方(6代)、谷穹ら信楽を拠点に活動する17人の作を通じて信楽の今とこれからを展望できるだろう。

 甲賀市の水口歴史民俗資料館と土山歴史民俗資料館、多賀町立博物館とも初めて連携し、信楽焼をテーマにした展示も試みる。


【会  期】10月3日~12月13日 月曜休館(11月23日開館、24日休館)
【開館時間】午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会  場】滋賀県立陶芸の森陶芸館(甲賀市信楽町勅旨) 0748(83)0909
【入館料】一般700円(560円)、高校・大学生520円(420円)、中学生以下無料 かっこ内は20人以上の団体
【主  催】滋賀県立陶芸の森、京都新聞
【ギャラリートーク】10月25日=陶芸館学芸員、11月22日=多賀町立博物館・糸本夏実氏(地質学) 各午後1時半 
【薪窯の魅力を語る会×薪窯ワークショップ(要事前申し込み)】
ワークショップ=10月23日、信楽産業展示館、講師は澤清嗣氏▽魅力を語る会(ライブ配信)=24日午前9時45分~午後3時45分、同(録画鑑賞会・信楽産業展示館)=25日午前9時45分~午後3時45分