酒税改正で税額が上がる第三のビールの商戦に力を入れるスーパーの売り場(京都市伏見区・フレンドマートMOMOテラス店)

酒税改正で税額が上がる第三のビールの商戦に力を入れるスーパーの売り場(京都市伏見区・フレンドマートMOMOテラス店)

今後の酒税改正のスケジュール

今後の酒税改正のスケジュール

 10月1日の酒税法改正を目前に控え、税額が上がる第三のビールの駆け込み商戦が最終盤を迎えている。京都や滋賀の小売店では売り場にケースが山積みされ、多くの客が買い求めている。メーカー各社は10月から段階的に減税されるビールの消費拡大に期待する一方、京都の酒造会社は人気が続く酎ハイなどの販売攻勢を強めている。

 京都市伏見区の商業施設「MOMOテラス」内のスーパー「フレンドマート」は、入り口付近に第三のビールの特設売り場を設け、ケースを積み上げた。350ミリリットル缶を毎日2本飲むという近くの男性(78)は「値上げは小さいかもしれないが、積み重なると厳しい。少しずつ買いだめしている」と話し、1ケースをカートに入れた。

 10月からビールの酒税が350ミリリットル当たり7円の引き下げとなる一方、低価格で人気の高い第三のビールは約10円引き上げられる。2023年10月には第三のビールの税率が再び上がり、発泡酒に統合。26年10月以降は3種類のビール類の税額が同54・25円で一本化される予定だ。

 京滋の小売店では、第三のビールの駆け込み需要に合わせ、ポイント還元や景品特典などのキャンペーンを展開。フレンドマートなどを運営する平和堂(彦根市)は、第三のビールの今月21~25日の全店売り上げが前年同期比1割増え、前月比では3割以上伸びた。

 ビール各社も増産に動く。滋賀県に工場を持つキリンビールは、9月の生産予定数が全国で前年比2割増。主力商品の「本麒麟(きりん)」は5割増という。今年は新型コロナウイルス感染症で家飲みが広がったが、業務用の需要は激減。1~8月のビール類の出荷量は前年から落ち込んだものの、第三のビールは7%伸びた。安さが支持されたとみられ、同社は「コロナ禍で人々が抱いた生活不安も影響している」と分析する。

 一方、京都の酒造大手は好調な酎ハイやハイボールでビール類市場に切り込む。酎ハイなどの缶商品は炭酸水で割らず手軽に飲めることから、「RTD」(レディー・トゥー・ドリンク)と呼ばれる。低アルコール商品を中心に市場が広がるRTDの税率は26年まで据え置かれるため、価格帯の近い第三のビールから消費者を取り込む戦略だ。

 宝酒造(下京区)は主力の「タカラ焼酎ハイボール」で新味や糖質ゼロの商品を続々と投入。同社は「酒税改正は大きなチャンス」とみて、消費者の健康・節約志向を意識しながら勢力拡大を図っている。