2019年の顔見世興行のまねき上げ(京都市東山区・南座)

2019年の顔見世興行のまねき上げ(京都市東山区・南座)

 コロナ禍の中、異例の3部制での開催が決まった京都・南座の顔見世興行。都をどりや歌舞伎公演の中止が3月以降続いただけに、10カ月ぶりにともる芝居の灯に、地元・祇園の商店街からは「にぎわいが戻る一歩になる」と待望する声が上がった。まねき看板も11月末には上がる。今年は京の風物詩といえる催しの中止が相次いだが、南座は「感染対策を徹底して年中行事の掉尾(とうび)を飾りたい」とする。

 祇園商店街の北村典生理事長(52)は「自粛期間中は商店街の9割以上の店が休んでいた。夏以降、再開する店が増えたが、やっぱり南座で芝居がないと痛手は大きい。ようやく祇園が華やぐ」と声を弾ませる。

 例年のような全国からの団体客が多く見込めないこともあり、公演期間は例年の半分近い2週間(12月5~19日。11日は休演日)に短縮。客席使用は前後左右や花道横を空けて50%未満の500人弱に制限する。公演時間も2部制に比べ半分の各部2時間になり、幕間(休憩時間)に弁当も食べられないが、飲食店関係者は「公演があるだけでも前進。終演後に店に寄って」と期待する。

 歌舞伎発祥の地・京の顔見世は、少なくとも南座が松竹の劇場になった1906(明治39)年以降、戦時中も中止されずに続いてきた。松竹にとっても明治時代に京都で創業し、演劇界で飛躍した礎になった「大切な興行」なだけに、開催できる方策を検討してきた。

 上方の大看板として毎年出演してきた京都市出身の坂田藤十郎(人間国宝)は年末で89歳になる高齢もあり、今年は出演を見送る。一方で、若手役者が躍動する舞踊を各部に付けるなど清新な顔ぶれを増やした。

 演出面でも「熊谷陣屋」の四天王を通常の4人から2人にしたり、「吉田屋」に大勢登場する仲居たちを減らしたりと「ソーシャル・ディスタンス」をとる。大向こう(掛け声)も禁止する。

 南座前の歩道は例年入れ替え時に混雑するが、今年は各部の終演から開演までの間隔を2時間ほど確保し、混雑は抑えられるという。藤田孝・南座支配人は「換気や消毒も万全にしたい。時間も料金も例年より抑えており、ぜひ地元の方に来場いただきたい」とする。