「ペイペイ」などキャッシュレス決済に対応した小売店。消費税増税でキャッシュレス決済の対応店舗は急増した(京都市中京区)

「ペイペイ」などキャッシュレス決済に対応した小売店。消費税増税でキャッシュレス決済の対応店舗は急増した(京都市中京区)

 初めて税率が2桁になった消費税増税から1年。個人消費は冷え込んだ半面、今年6月まで9カ月間にわたって実施されたキャッシュレス決済のポイント還元で、現金を使わない支払い方法が広がった。政府はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割に伸ばし、将来的に8割まで引き上げる目標だが、道のりは険しい。

 「外国人客はほとんどがキャッシュレスで会計する。観光客相手の商売では不可欠だ」。京都市中京区の新京極商店街で土産店を営む男性(64)はこう話す。ポイント還元開始に合わせて「ペイペイ」や「アリペイ」のQRコード決済を導入。主要なクレジットカードと電子マネーにも対応している。

 新型コロナウイルスの感染拡大で強まった人々の衛生意識も、現金離れを加速させた。コロナ禍で訪日外国人客が姿を消す一方、男性は「感染が広がってからは、キャッシュレス決済を利用する日本人客も増えた」と実感を込める。

 多くの店舗がポイント還元に参加したコンビニでも、売り上げに占めるキャッシュレス比率が、セブン―イレブンとローソン、ファミリーマートで昨年から1割ほど上昇。セブン―イレブンでは既に4割を超えている。

 6月末で終了したポイント還元の後継施策に位置づけられるのが、9月に始まった「マイナポイント」事業だ。マイナンバーカードとキャッシュレス決済をひもづけることで両者の普及を同時に狙う政府の消費喚起策だが、手続きの複雑さから申請の伸びは鈍い。

 経済産業省によると、19年の国内のキャッシュレス決済比率は26・8%。前年から2・7ポイント増えたものの、主要国の普及率は40~60%台。韓国では、キャッシュレス決済での所得控除や宝くじの参加権付与といった政府の推進策もあり、90%以上に達している。

 日本のキャッシュレス化が低調な理由は何か。消費生活ジャーナリストの岩田昭男さん(68)は「偽札が少ないことによる現金信仰や、『カードは借金につながる』との偏見が依然として根強いため」と分析。「日本も本腰を入れてキャッシュレス決済を推進するなら、ポイント還元事業の延長はするべきだった」と指摘する。