四半世紀前、先端研究施設が相次ぎ進出した関西学研都市の京都府精華町光台で、初のコンビニ店開業を小紙が報じている。夜遅く残る研究員らをほっとさせる「おでんも置いてある」と紹介している▼コンビニ定番のおでんは、真冬よりも肌寒さを感じ始める10月前後が最も売れるという。アツアツが急に恋しくなる心理を狙いつつも、今シーズンの商戦は様変わりしている▼新型コロナウイルスの影響なのは言うまでもない。店内のおでん鍋を覆って飛沫(ひまつ)を遮る一方、大根、卵などの具材をあらかじめ小分けしたカップやパック詰めの販売に力を入れている▼昨秋の消費増税で持ち帰りの総菜が人気のうえ、コロナ禍での「巣ごもり需要」を取り込む作戦だ。それだけではない。人手不足の現場から店内調理による具材の補充や時間管理、清掃の労力、大量の廃棄ロスなどの負担軽減を迫られての策でもある▼今年7月からのレジ袋有料化に伴い、温かい汁物をマイバッグに入れにくいという理由もあるようだ。一方、具材のコンブは地球温暖化による海水温の上昇で、近海物が消滅する可能性があるとの研究報告もある▼コンビニのおでんが、現代社会の抱える諸課題のごった煮にも見えてくる。白い湯気をフーフー吹いて、一つ一つ染みた味を確かめたい。